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2021年のドル円はドル高・円安に布石を打つか

2021-12-28

■ ドル円は単月ベースで4年ぶり、単年ベースで6年ぶりのドル高・円安が確実視される

■ 8、9年周期のドル高・円安のアノマリーが繰り返されるかどうか

  今年も残すところあと5日。欧米市場はクリスマスでほぼ休場の薄商いとなったが、この間、金融市場は概ね穏やかであったと判断される。ドル円は12月の単月ベースでは3年連続で下落したが、113円台前半を月末時点で下回らなければ、ローソク足は4年ぶりに陽線(上昇基調)を示現する。単年ベースでは、103円台前半で始まり、年明け早々に102円57銭の安値を付けたが、その後は概ね大幅な調整なくしてドル高・円安が継続。11月には115円台半ばまで上伸したが、円の実力を示すとされる実質実効為替レートは70前後と2015年の水準に近づいた。そのため、黒田日銀総裁が実質実効為替レートで円安をけん制した当時の発言を踏まえ、足元の円安は行き過ぎとの見方が広がった。現時点では、若干の円安だと認識しながらも、日本経済には総合的にプラスと受け止めていると繰り返し述べている。
   円の実質実効為替レートの下落は、日本の相対的な物価の低さが影響したとの指摘もある。だが、11月のコアCPI(生鮮食品を除く)は前年比0.5%上昇と原油高を背景に押し上げられた。総務省の担当者は、携帯電話通信料の下落が指数を1.5%ポイント程度押し下げたと説明しており、大幅な値下げがなければ、日銀の物価目標(2.0%)に届いたことになる。これらに鑑みれば、今後は消費者物価指数(CPI)の伸び率にも注視したいところだ。ドル円は12月上旬以降も112円台半ばで下げ渋っており、6年ぶりのドル高・円安水準が確実視される。1982年以降は8、9年周期でドル高・円安が繰り返されており(1990、1998、2007、2015年)、アノマリーが続けば次のドル高・円安のピークは2023年もしくは2024年に迎えることになる。奇しくも、2024年は米大統領選挙を控えており、2022年11月の米中間選挙に向けて政局も注目点となろう。
 

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