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2021年末の相場展望(12月27日~12月31日)

2021-12-27

今年もあとわずかとなったが、年を通しては昨年に引き続き新型コロナウィルス感染から完全払拭が出来ない中での一年であった。昨年の今頃はワクチン接種に明るい展望があったが副作用への不安もあり、オリンピックの行方に期待と不安が交錯して、また国民はほぼ帰省を控え静かな年末年始だったと記憶している。今年は昨年の今頃より新型コロナウィルス感染者数の低下を維持していることで、やや落ち着きが見られるが、オミクロン株の感染者が増え始めており先行きもまた気になるタイミングで年末を迎えることとなった。国内はまだ落ち着いているが、海外では新型コロナウィルスの新規感染者数が増加しており、ワクチン接種をし、もう大丈夫と外に出て人との接触を繰り返しているところで再発する傾向が続いているよう。欧米では一日の感染者数が過去最高を記録し、ロックダウン規制を敷かれた国もあり、来年も早々からこの報道を見ない日はないだろう。

先週は11月米国個人消費支出価格指数の統計結果が発表され、前年度月比で4.7%という結果となり1989年以来の大きな伸びとなった。九ちゃんではないが物価は着実に上を向いて歩いており、住宅関連の伸びや景気指数等の数値も良好なため、来年の利上げは予想通りかそれ以上になる可能性もある。来年の利上げを0.75%で織り込んだにも関わらず、米国株は下げない、むしろ史上最高値圏を維持しており更新も目前だ。他の国々の指数はこのところ戻しており、堅調さが伺える。気になるのは中国経済であり、建設機械の稼働時間などを見ると落ち込みがひどく、今後の中国製造業PMIなどは注目していきたい。それを先取りすると言われる建設機械からの指数が大きく下がっているため、製造業PMIが明確に下がるとなると、一時的でもアジアを中心に株価への直撃ともなりかねない。不動産への不安が高まっている中での製造業の落ち込みがあると、間接的だが日経平均には痛手となる。またロシアは、年末ウクライナ国境から軍の部隊一万人以上撤収を始めたことで、軍事的緊張の緩和観測も出ているが一時的の可能性もあり、年初にもウクライナに攻撃するという噂があるだけに年が変われば高まる不安感との綱引きとなろう。

米国や欧州、更に貿易やビジネスで深い関係のある中国の物価上昇の影響がひたひたと日本まで到達しそうで、商品価格高騰や半導体不足も相まって物価高は待ったなしとなる。これは需要から来るインフレとなれば良いが、悲しいかな日本は供給面からのインフレが予想される。そうなると日銀は2%のインフレ目標が金融緩和の一番の目的となるので、もし実現すると緩和縮小も視野に入れる必要がある。そうなれば株価の調整は必至となり、外部環境にもよるが大きな調整の可能性があるだろう。コロナ感染の行方もまた懸念材料だが、国内で少ない感染者を維持していればサービス業の景気回復を中心に経済活動に弾みが付く可能性もある。どちらかというと来年の株価は下げ波乱がありそうなのだが、半導体の製造が戻ってくると様々な分野に波及するので企業業績の下支えも考えられる。全体からは、マクロ経済はマイナス、ミクロ経済はプラスの方向を予想している。

ドル指数週足チャート



今年は上昇が強かったドル指数。言い換えればユーロの弱さとドルの強さが合いまった動きだったようだ。米国は新型コロナウィルス感染者数が一時は低下したが夏場から感染者が急増し、現在は高水準で推移している。対してEU各国も同じようなタイミングで感染者数の増加、減少となっており、感染者の増減ではドル指数の動きは判別できない。双方共にインフレ懸念はあるが、EU各国は年後半ではコロナへの不安感が強く、政府やECBは行動制限や更なるロックダウンへの言及が増えており、またECBはインフレが一時的だという考えが強い。しかし米国FRB連邦銀行は、インフレを懸念し始めておりテーパリングの解除に向けて大きく舵を取り、来年の利上げまで言及したことでEUとは乖離が見られたことがドル指数に大きく影響している。テクニカルからみるドル指数は、昨年から今年にかけてのダブルボトムに近い形状で上昇し、年初の90ポイント割れから97付近まで上昇した。長期的にみると、2017年初の高値103.80と2018年2月の88.22の安値から三角持ち合い形状となっていたが、今年の11月95ポイントを上抜けしたところで持ち合いをブレイクすることとなり、現在(96ポイント)まで堅調推移が継続している形となっている。この一か月間は年末年始を控え揉み合いとなっているが、新年からは更なる上昇が見込まれる。ターゲットはまず2019年の98.30付近である。今年5月からの上昇トレンドラインが機能しているうちは、この堅調推移が保たれると考えている。直近下値は95.80付近がサポートであるため、ここを下に抜けるとやや調整期間が強まる感じだ。

金価格の週足チャート



金価格も三角持ち合いであるが、これは昨年末あたりからの持ち合いパターンとなった。この中で下値レベルの1676.75はサポートレベルとして機能している。三角持ち合い形状は来年3-4月くらいに線がクロスする予定であるので、その前にどちらかにブレイクしそうな形状だ。ドル指数が上昇していて通常は逆に動くが、今のところ連動性はそれほど大きくはない。米国10年債利回りとの関連や株価、新型コロナウィルス感染からの影響も受けて、複雑な動きで、全般はどちらかというと高止まりの動きとなっている。ここ数か月間の動きから来年のトレンドが見えてくるかもしれないので、注意してみておきたい銘柄である。短期では、ここのところ堅調さが見えてきており、直近の米国経済指標の好調な数値発表ごとに高値から下落はしているが、下がっても安いところは買う動きが見て取れる。クリスマス休暇後はじりじり買われる展開となるのではないか。直近のターゲットは、抵抗レベルでもある1825~30ドル付近である。

来年は寅年、クマではないが上から襲いかかるベア相場とは格言の一つだが、株価にとっては良くない干支である。日経平均株価にとって、寅年は鬼門であり、これまでのアノマリーから過去の年間成績では1950年以降ではワーストの記録が残っており1勝5敗の大負けの年がやってくる。だがしかし、バブル相場だとは言え1986年の騰落率はプラス40%強というのもあるのでわからない。悪化のイベントが出ると下がりやすい基調とはなるであろう。米国利上げ、岸田政権は金融所得税を上げ、自社株買い規制も打ち出しており、株式相場には悪材料が潜在しているのは気にかかるこの頃だ。 来年はコロナから脱却し、 皆様にとって良い年になるようお祈り申し上げます。 PRC Broker 一同
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