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米国株:2022年は高値圏で高下する展開か

2021-12-23

■ 企業業績の堅調さが株価を下支えしよう

■ 金融政策正常化に伴う株価下振れリスクを警戒


    情報会社リフィニティブの集計によれば、2022年のS&P500構成企業の一株当たり利益(EPS)は8.3%増と、2021年(49.6%増)から大きく伸びが鈍化するものの、過去10年(2012-2020年)の平均(8.8%増)並みの増加ペースが想定されている(17日時点)。ただ、一部企業のプレアナウンスメントによれば、2022年1月上旬に発表される10-12月期のEPSに関して、57社が悪化もしくは市場見通しを下回ると予測し、34社が改善もしくは市場見通しを上回るとの見方を示しており、7-9月期(それぞれ43社、60社)と比較するとネガティブサプライズが生じやすくなりそうだ。企業業績の堅調さが株価を下支えする構図が保たれるとみているが、想定通りの利益成長が実現できるか注視しておきたい。

   米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる金融政策見通し(中央値)では、高インフレへの警戒感が強められ、2022年に3回、2023年に3回、2024年に2回の利上げが想定されていることが示された。予想株価収益率(PER)は新型コロナ禍後には概ね20-23倍で推移してきたが、金融緩和によるサポートが大きく弱まることから、下振れリスクを警戒すべきだ。特に、FRBによる資産規模のコントロールはPER水準に大きく影響すると思われる。資産購入の段階的縮小(テーパリング)が終了しても、目先は償還金再投資により資産規模縮小が回避され、PERの水準は保たれるだろう。ただ、利上げを一定期間進めた後には資産規模縮小が視野に入る。そうなれば、過剰流動性が吸収されるとの思惑から、PERの水準が切り下がる可能性がある。

   企業利益の堅調さが下支えとなり、2022年のS&P500は4600ポイントを中心に高下する展開を想定しているが、金融政策正常化に伴う株価下振れリスクを警戒すべきと考えている。
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