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12月第3週(12月16日―12月20日)の相場予想

2019-12-16

(先週の動き)

前半はFOMCと英国の総選挙前で小動きながらもリスクテークの動きは残っていた。年末という環境下で金融商品の取引高が減少しており、15日の週末に向けて追加関税へ警戒感と期待感が相まっていたタイミングで、トランプ大統領が木曜日に「中国との貿易合意が近い」とツイートしたことからリスクオンが急激に強まった。株価は急上昇し、円安への動きも同調した。翌金曜日には、英国総選挙の結果が出てジョンソン首相の与党が過半数を獲得するという出口調査の結果を受けて、ポンドドルは1.31台後半から一気に1.35台へと一気に上昇した。また円安の動きを加味したポンド円は5円以上の上昇を見せた。欧州ECBのラガルド新総裁のコメントでは、量的金融緩和の副作用へ懸念を示し、今後も監視していくということからユーロドルも上昇した。

(今週の展望)

米国と中国は、双方の見解から第一弾の貿易合意が確定している。今月15日からの追加関税は中止、米国は1200億ドルの中国製品の関税を15%から半分に引き下げ。2500億ドル相当の中国製品への25%関税は維持され、中国は2年間に米国農産物や工業製品の約2000憶ドルを輸入拡大する。これらの合意内容で、2500億ドル相当の中国製品への25%関税措置が据え置かれたため、市場の予想とは乖離があることでリスクオン相場は限定され、ドル指数の下落につながった。

また米国の重要な経済指標の一つ、前回のISM製造業景況指数の悪化に加えて先週の小売売上高の低調さは、米国内景気にとってはファンダメンタルからの不安材料ではあるので、今後やや重しになると考えている。11月の小売売上が悪かったことで、現在のクリスマス商戦で注目の12月の消費傾向をも悪化するとなると、金利は低下基調が続きドルには重しになるだろう。対ドルのユーロとポンドの上昇なども相まって、今週のドル指数は上値の重い展開を予想している。しかし対円となると、米中貿易第一弾の合意が確定したことと英国EU合意離脱の方向性が見えてきたことで、リスクオンの雰囲気が高まっているため、薄い相場付きの中で円安方向へと動きやすい。

逆にユーロドルは、昨年9月からの下落トレンドを先週に上抜けしたが、トレンドラインの内側に戻ってしまっている。しかし今週中に1.1150をしっかり上に抜けると、下落から上昇の動きに転換する可能性がある。前述のラガルド新総裁のコメントで上昇した結果であり、また欧州経済の下げ止まりへも言及があった。しかし反転のきっかけは、数週間前のドイツGDPが予想を上回ったことが起点になっている。今後は、堅調基調を継続出来るのか、欧州やドイツの経済指標を見ていくことが重要。今週は、欧州PMI、貿易収支、消費者物価指数、建設支出などの発表がある。テクニカルからはやや上昇の余地はありそうで、またドルの利食いから、米国経済指標の弱さから年末まで1.13台程度の可能性はあるだろう。

同じくポンドも英国総選挙の結果を受けて急上昇したが、その後高値もみ合いとなっている。このまま堅調さを継続出来るのか、今後の議会での合意案件がそのまますんなり進んで合意離脱を確定出来るかどうかに掛かっている。

金価格の方向性はリスクオンの割には大きな下落とはなっていない。それはドル安がサポート役になり、リスクオンと相殺しているようだ。月曜日の午前10時現在は1474ドル付近で推移している。1485ドルにある上値抵抗線が上値の目途、下値は引き続き1445ドルとなる。1490ドルをしっかり上に抜いていくと、下値不安はやや減少すると思われる。

今週は、懸念のある経済指標が続いている米国の指標に注目したい。欧米のPMIが月曜日に発表される。その後、ニューヨーク連銀、GDP、住宅関連指数やISM製造業指数に関連の深いフィラデルフィア連銀製造業指数がある。これらの指数が悪化すると懸念がやや増大すると思われ、その場合はドル安の動きに要注意となるだろう。

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