News

NZのマイナス成長は7-9月期に止まるだろう

2021-12-15

■ 7-9月期の実質GDPは前期比4.5%減へ落ち込む見込み、都市封鎖の長期化が成長を下押しへ

■ 政府の強力な財政支援の下、RBNZは完全雇用と物価安定を目指し利上げ継続へ


    ニュージーランド(NZ)統計局は16日、7-9月期の実質GDPを公表する。市場予想では、実質GDPは前期比4.5%減と3四半期ぶりのマイナス成長に落ち込む見通し。同期間の製造業売上高は同6.4%減と2020年4-6月期以来の低水準を付けたほか、15日公表の経常赤字も前期からの赤字幅拡大が見込まれ、内外需ともに低調さが際立つ。8月中旬、新型コロナウイルスデルタ株の市中感染者の確認を受けて、政府は全土で都市封鎖を実施、人口の3割を占めるオークランドで制限措置が長期化した影響は大きい。先行きを見通すと、11月の製造業PMIは50.6と前月から3.7ポイント低下、供給制約に伴うコストとインフレ圧力がマインドの悪化につながるなどして景気下振れへの懸念はくすぶる。だが、12月3日、オークランドでは約3カ月続いた外出制限が解除された。保健省・地域保険委員会によれば、同地域でのワクチン接種率は対象者の95%が1回接種、92%が2回接種を完了したという(14日時点)。今後は新たな規制緩和が導入され、ワクチン接種率などに応じて制限措置が講じられるが、経済活動再開となれば、景気回復への期待も高い。
    NZ財務省は2022年度(2022年6月まで)の予算案で、向こう5年間のインフラ投資計画を573億NZドルに引き上げ、住宅供給支援に38億NZドルを投じたほか、社会福祉制度下の各種給付金引き上げ、医療制度改革、教育支援など支援策を強化。2020年に創設したコロナ対応・復興基金には51億NZドルの残額があるとして、必要に応じて拠出可能だとした。NZ中銀(RBNZ)は主要先進国に先駆けて10月6日の政策決定で7年ぶりの利上げを実施。住宅価格の過熱感が強まるなか、11月24日の委員会でも政策金利を0.5%から0.75%へ引き上げた。今後の利上げペースについては慎重姿勢を示し、為替市場では0.5%の利上げを予想する向きの失望を誘ったが、政府の強力な財政支援の下、雇用改善が続くなか物価安定を目指し、2022年2月23日の次回委員会でも0.25%の追加利上げが決定されると当行は予想。NZドルは10月のピーク(0.7218米ドル、82円50銭)から約7%下落したが、早期利上げを織り込んだオーバーシュートによる反動だとみている。NZドル高の調整局面は終りに近いだろう。
TOP