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12月第2週(12月9日―12月13日)の相場予想

2019-12-09

(先週の動き)

先週もまたトランプ発言に振り回された相場となってしまった。

トランプ発言

月 ブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウム

       に関税を課すと表明し、株安とドル安を招いた。

火 中国との通商交渉合意に期限はないとし、来年11月の大統

       領選挙後まで待った方が良いかもしれないと述べた。

       株価は3日連続の下落となった。

水 中国との通商協議は「極めて順調」に進捗していると表明

   

発言の流れと連動して3日連続の下げとなった米国株は、水曜日に順調な協議が行われているという発言で持ち  直し、ドル安円高を止め、円安株高へと後半はやや戻しの展開となった。

ポンド相場は、来週の英国総選挙を控え与党のリードが確定的となっており、ポンド上昇の要因となっている。欧州各国のPMIの結果が良かったことで、ポンドに加えてユーロも堅調推移となった。週半ばからはドル円のショートカバーに対ドル通貨の上昇で、結果クロス円の上昇が際立った。

原油相場は、週半ばからOPEC総会絡みの影響で激しい動きが見られることがしばしばあったが、中心国のサウジアラビアは各国の同意をとって減産幅の拡大を求めていた。予想では、現行の120万バレルの減産幅はそのままで期間を来年6月まで延長するのではないかというのが大方の見方だったが、意外にも減産幅を170万バレルと増やし、期間は来年の3月までということになり、原油価格は60ドル台目前まで上昇した。

(今週の展望)

減産幅を変更したことで上昇している原油相場だが、決断の背景にはサウジアラビアのサウジアラムコ新規株式公開日である1211日を前に原油価格をサポートしたい思惑もありそうで、60ドル乗せが見られるか今週の動きに注目したいところ。

トランプ大統領の発言に右往左往させられている相場だが、投資家の中には次第に慣れと厭きれも出てきており、発言の影響からの動きは徐々に少なくなっていくと思われます。しかしEUにも貿易関税のプレッシャーを掛けており、対中国以外にも面倒な問題がクローズアップされると発言からの影響が継続する可能性もあるでしょう。とはいえ基本的な各国経済の動向が最も重要な相場へのファクターであることは間違えないことから、その結果や影響度なども抑えておく必要があります。先週の米国ISM製造業景況指数の悪化は米国内の景気に直結する可能性が大きいため、個人的にはまだ今後の米国景気には引き続き注意が必要ではないかと考えている。ただ市場から見ると、FRBが雇用と物価のコントロールが中心役割となっており、金曜日の雇用統計の結果で安堵したようで、ドル高、株高の基調を保つことが出来た。気になるのは、リスクオン優勢の中での円高気味の動き。私が記録をとっている円指数では約10日ぶりに円高へと転換している。円通貨の中でも大きく足を引っ張ったと思われるのがユーロ円の下落。チャートを見ると今月内で小さなダブルトップが完成し、軟調基調へという動きが想定される。ユーロ円の下落が鮮明になると、ドル円にも重さが加わり、次第に円高への動きが考えられる。

今週の欧州各国の鉱工業生産やZEW景況感調査の数値には注意が必要となる。またポンドの買戻しが大きくクローズアップしており、それを証明するのが対ドルの動き以上にユーロポンドの動き。今年8月には0.93台だったのが、現在は0.84台と約10%下落している。ドル相場に隠れて動きを大きくしていたこの動きが、ポンド買戻しを証明する指数となっている。ポンド通貨ペアの買いが継続するのかどうかは、ユーロポンドの動きを捉えることで判断できるのではないだろうか。

今週は、12日木曜日に行われる英国総選挙が一番大きなイベント。ジョンソン首相の与党勝利を既に織り込みつつあるポンド相場であり、劣勢となると大きく売られる展開もあるだろう。このまま勝利すると、獲得議員数次第での動きで上下振れやすくなっていくと思っている。過半数獲得は無理としても近い議員数を獲得しないと、EU離脱へのまとまりは弱くなり不確実性は一段と高まっていくはず。まだ来年1月末までの合意にも多くのハードルが残されていて、合意リスクが高まれば、金価格が反転上昇に転じることもあるだろう。


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