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英中銀は来年1-3月期まで利上げ実施を先送りの見込み

2021-12-14

■ オミクロン株出現の影響から、英中銀は12月MPCで政策金利を据え置く可能性が高まった

■ 一方で、依然英国のインフレ高進への警戒感は根強く、来年1-3月期の利上げ実施を予想する


   12月13日から17日はクリスマスを控えた週ということもあって、先進国と新興国合わせて12の主要中央銀行が、今年最後の政策会合を行う予定である。最も金融市場の注目を集めるのは14日と15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果だが、近い将来の利上げ実施を巡って市場の見通しが最も揺れているのは、英中銀(BOE)と言えるだろう。次回英金融政策委員会(MPC)は、16日に開催される。
   BOEは前回の11月MPCで、政策金利の据え置きを決定した。金融市場の一部では利上げ実施の見方が強まっていたことから、政策金利据え置きを受けて、11月中旬にかけて先進国債券市場では金利低下の動きがみられた。その後、11月16日と17日に発表された10月の英被雇用者数と英消費者物価指数(CPI)の結果を受けて、短期金融市場では一時12月MPCでの利上げ実施観測が100%織り込まれたこともあった。
   しかしながら、足元では改めて年内の政策金利を据え置くとの見通しが優勢になっている。流れを変えたのは新型コロナウイルスオミクロン株の出現だ。12月3日には、11月MPCで0.15%の利上げ実施を提案したソーンダースBOE委員が、オミクロン株の英経済への影響を見極める時間を持つことに利点があるとの見解を示した。また、12月8日に英国政府はオミクロン株の感染拡大抑制のため制限措置を一部再開すると発表したほか、12月12日にはコロナ警戒レベルを「4」へ引き上げた。そうしたなかで、金融市場では政策金利据え置き見通しが広がっており、為替市場ではポンドドルが11月下旬以降に下落基調が再開し、昨年12月安値(1.3133ドル)を試す展開となっている。
    一方、市場予想で12月15日公表の11月英CPI上昇率は前年比4.7%と一段の伸び加速が見込まれる通り、英国ではインフレ高進に対する警戒感がくすぶる。今年9月末に終了した雇用維持制度の影響が軽微と確認されれば、金融市場では再び利上げ観測が浮上する可能性もある。当行は、現時点で来年1-3月期の0.15%の利上げ実施見通しを維持する。

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