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12月第2週の相場展望(12月6日~12月10日)

2021-12-06

ここまで冷静な相場付きだったが、米国株の過熱感が台頭していたところに新型コロナの新たな変異種であるオミクロン株の発見とパウエルFRB総裁からの「テーパリング縮小を急ぐ必要がある」とのコメントから株価は大きく下落した。オミクロン株が今後どのような影響を及ぼすのかまだ不透明で、まずは不安感が募り相場を攪乱している。ドル円は112円台へ突入し、米株は総じて約6%も下落した。また世界的にロックダウンからコロナ後を睨んでのリベンジ消費が増えたことと、商品関連に携わる労働者や輸送手段が逼迫しており、生産者からの発想の遅れや半導体の不足なども相まって足元の物価が上昇している。欧州や日本の中銀は未だテーパリングは縮小していないが、縮小を始めた米国は急激なインフレとオミクロン株の綱引きで、FRBには舵取りの難しさが生じている。オミクロン株の動向次第では、テーパリングの縮小が仇となって株価の更なる下落をもたらし、本当のスタグフレーションの懸念も出てくる。現在のインフレは供給不足であって、需要がコロナ前と比較して増加しているわけではない。コロナ下での荷下ろし作業など、人が行き交う中での仕事は敬遠している労働者は多いはず、世界的に給付金で失業の間に何とか生活出来た人たちはコロナ感染が収まらない間にその仕事に戻るのかは難しい選択となり、それが労働者逼迫から物の移動が遅れることで商品不足からのインフレとなっていることが多いと思われる。またクリスマス前ということで季節的な需要の高まりもタイミングが悪い。欧米の高官は、双方の新型コロナ感染者が未だに多いため、これに加えてオミクロン株が入ってくると厄介であるから次々と警戒のコメントが出されていることも市場に不安感を与えているようだ。また各国でのオミクロン種感染者が発見されており、今後への不安感は増すばかりである。

警戒感が先行して崩れた相場付きは、もう少しの間は継続すると見ており、今週日本の先物オプションメジャーSQが予定されていることで、リスクオフの状況下では株価は下向きとなりやすい。下攻めがありそうで、ドル円も軟調継続が漂う。ただそこで下に突っ込んだ後には、戻しの相場となりそう。日本の個人投資家の信用買い残が高まっており、未だ買いポジションが多く残っている様子。そこで投げが見られると需給が改善していくことだろうが、それも次週となる。またオミクロン株がその間に各国で拡大し詳細が発表されるタイミングとも重なりそうなため、戻りがあるにせよ上値は限定されそうだ。米国のS&P500指数は高値から5%強の調整となったあとにやや戻している。米国の株価指数は調整が大きくなると一時的でも10%以上もしばしばみられるため、それほど大きな調整とはなっていない。長短移動平均からの乖離もそれほどではなく、現在は中間点でしかない。株価の動向は、今後のオミクロン株次第であろうか。

来週となれば海外勢の売買低下の可能性が大きく、例年だと徐々にレンジ幅を狭める時期である。為替相場は今年全般ドル高が進行し、現在はその調整局面となっている。年末に掛けて参加者の減少により薄い中での相場となり、ドル指数も一時的に高値更新となる可能性も残っているが、年末はあまり高値、安値を深追いする時期ではなく、餅つき相場と言われるようにレンジ内で上げ下げを繰り返すことが多い。世界的な金融緩和局面が長く続いたことで、マネーは膨張しており、またオミクロン株の件もありレンジとは言え通常よりレンジ幅の拡大は否めないから短期的にポジションをとるタイミングが難しくなるだろう。

米国雇用統計では非農業部門雇用者数が予想の55万人のところ21万人という落胆の結果となり、長期金利が添加したこととで米国株は一旦上昇したが、徐々に下落し軟調推移となりマイナス圏で終了した。ドル円も下落し直近の安値112.51に迫る112.54を付けたが、引けにかけて戻し113円を挟んだ取引となっている。ドル円は112円台前半には輸入勢の買い需要があるようで、米国10年債利回りが1.4%を割り込んでいるにもかかわらず、直近の安値は割り込まず底堅い感じはあるが、オミクロン株と日経先物オプションのSQに絡む株価売り仕掛けなどのリスク要因があるため上値は依然重いままであろう。25日移動平均線が113.80-90付近で推移しており、上値の抵抗レベルとなりそう。ここを回復すれば下値不安が後退するだろうが簡単にはいかないだろう。

ドル円日足チャート


今週はイベントが少ない中、金曜日の米国CPI発表に注目が集まる。予想は前月比0.7%と年率換算で8.4%の予想となっている。前回も0.8%と大きく上昇した流れを引き継げば、パウエルFRB総裁がコメントしたテーパリングの縮小の加速を裏付けるものとなり、市場には波乱をもたらす可能性もある。ただその施策を推し進める方向が明確となっているにも関わらず、米国長期金利は1.3%まで低下し、オミクロン株などを理由に先行きの不透明さが市場を覆っている。短期的にはリスクオフの環境下で米国債券を買う向きが多いことで、先行き景気の不透明さは否めないが、消費者物価が予想を上回ればインフレを抑える必要度が上がるのは間違いないだろう。
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