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米HY社債:変調の兆しは株価調整のシグナルか

2021-12-01

■ インフレの継続とオミクロン株が企業の信用リスクの高まりを連想させる

■ 米国株調整への警戒感を強める必要があるか見極めへ


   米ハイイールド(HY)社債市場に変調の兆しがみられる。代表的な指数であるBloomberg Barclays US Corporate High Yield Indexの価格指数は9月中旬に105.46でピークを付けたあと軟調に推移し、11月に入ると下げ幅を拡大。先週末26日には101.96まで低下している。米企業収益が急拡大局面から安定成長局面に移行しつつあるなか、供給制約や賃金上昇、原材料価格の高騰などが継続すれば、一部の米企業に対しては利益率が圧迫されるとの懸念が強まりやすい。また、新型コロナウイルスオミクロン株が世界的に感染拡大し、経済活動が制限されることに対する警戒感が高まっていることも相まって、信用力低下への思惑に拍車がかかっている。同価格指数は100を下回ると、S&P500株価指数が調整に至る傾向にある。現時点では100を上回っており警戒水準までには距離があるものの、このまま下落基調が続くようであれば株価調整への警戒感を強める必要があると考える。
   今後はインフレ動向に加え、オミクロン株とワクチンに関する追加情報に注目したい。製薬大手はオミクロン株に対する既存ワクチンの有効性に関する検証結果を2週間以内に発表できるとの見通しを示し、必要な場合には100日以内に出荷開始できるとしている。経済活動制限が強化されても短期間にとどまるとの見方が強まれば、企業業績の悪化に対する懸念は弱まり、米HY社債市場が発する警戒シグナルは杞憂となろう。一方、都市封鎖など経済活動を強く制限する措置が必要となれば、業績悪化への思惑が強まりかねない。追加情報がもたらされるまでは、投資家の慎重姿勢は払拭されないと思われる。

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