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12月第1週の相場展望(11月29日~12月3日)

2021-11-29

やはりドル円115円ちょうどのノックアウトオプションが多くあった様子で、その手前での防戦売買で104円台を上下し、ディーラーがその間の売買で儲けを出したようだ。105円を付けてから10ポイントほど上昇した後、105円を一度割れたが、買いの水準が上がってきたことで買い上げ105円台に再度乗せた。このままレンジ切り上げになるかと思っていた矢先、週末に掛けては、南アフリカで変異種が見つかったことで世界的に株価が急落した影響でリスクオフとなり円高へと急反転している。ただ変異種が見つかっただけでは株価下落の理由とはなりにくく、実際はヘッジファンドの仕掛けが中心で、短期筋のロスカットが加わっての下落相場と見ている。米国株には高値警戒感が台頭していた状況だったため売りの材料を探していた、その材料を無理やり相場への影響としているだけのよう。ただ下落が始まると悪いニュースには反応しやすく、テクニカルから見ても下に動きやすい。変異種はオミクロンを呼ばれ、詳細としはワクチンが効きづらいとか感染力が強い可能性とか報道されているが、未だに明確なことは分かっておらず、まずは不安感が下落をリードしたようだ。感染例からは若者は症状が軽い傾向があるなど、憶測と比べると実体は未だ不明点が多い。世界保健機関(WHO)は、解明まで1~2週間程掛かるという見方をしており、今後の調査結果次第で相場が動くのは否めない。直近の相場は米国金融政策から影響される米国長期金利の動向が全体の市場テーマの中心であるため、変異種という新たな懸念から先行き金利の低下が見込まれることでドル売りとなった。結果としてリスクオフ=ドル売りと連動性が強まっている。今回は米国が感謝祭だったことで薄い相場付きのため大きく動いたが、ややリスクオフに行き過ぎた感があり一旦戻して落ち着いたあとに変異種の詳細や今後見込まれる影響度合いを計ることになろう。逆に変異種からの脅威が薄まればドル高へ戻っていく相場付きである。

今週初めにパウエル総裁がFRBの議長として続投することが決定された。その椅子を競っていたブレイナード氏は副総裁として就任することとなった。その決定を受けてから長期金利が上昇基調となっておりドル高となった。米国では、超ハト派のブレイナード氏が総裁に就任する期待も幾らかあり、結果パウエル総裁続投となったことで金利上昇に繋がったことで最も影響が大きかったのが金相場となった。1877ドル付近を高値にもみ合っていたが、パウエル総裁として同じ金融政策路線を継続することで変化がなくなり、リスクに対しての警戒が外れ、リスクへの投資としてされていた金相場に売りが嵩んだ様子。再度1700ドル台へ下落したが、1700ドル前半から下は各国の買い需要がありそうで更に下落するとは考えていない。短期的には一応1760ドルが下値のターゲットを探る展開となろうが、その下は1700ドル程度と限定的になると考えている。上値は1820、1845ドルに抵抗がある。上昇でやや高値警戒が出ていたが、RSIは50割れ付近まで戻しており中立化しており、しばらくはボリンジャーバンドα2の幅内での動きで推移しそうだ。

(金の日足チャート)


欧州では新型コロナウィルス感染拡大の温床となっており、オーストリアの全面ロックダウンに続いてチェコが非常事態宣言、オランダも抑制策を検討中でスロバキアは2週間のロックダウンとなった。欧州域内では比較的簡単に越境できるのが仇となっているようだ。またアフリカで発見された変異株に関してはまだ不透明であり、英国政府がアフリカ6か国からの航空便を一時禁止するなど、他の国も渡航制限などを発表し世界経済への影響を懸念した相場付きとなっている。しかし未だ不明点は多く、変異種に関してはワクチンが効きにくいなどの不安感やと米国感謝祭で参加者限定市場という状況から株式相場の急落はややオーバーシュートの気配が漂う。

今週は経済統計発表が多く、米国では雇用統計を金曜日に控えて前哨戦であるADP雇用統計、住宅価格指数、シカゴ購買部景気指数、コンファレンスボード信頼感指数とISM製造業景況指数などの景気指数も多い。中国ではサービス業と製造業のPMI、欧州では各国のCPIが発表される。
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