NZ中銀は追加利上げを決定
2021-11-25
■ RBNZは物価上振れへの警戒感を強めたが、今後の利上げについては漸進的となる可能性も
■ 新型コロナウイルスとの共存の下、金融引き締めは完全雇用と物価安定により着目へ
ニュージーランド(NZ)中銀(RBNZ)は24日の金融政策会合で政策金利を0.25%引き上げ0.75%に決定した。利上げは2会合連続。声明では、「物価安定の維持と最大の持続可能な雇用支援のため、景気刺激策を縮小し続けていくことが適切」、「総合消費者物価指数(CPI)は今後2年間で2%に向かう前の近い将来には5%を超えるだろう」、「インフレ率の上昇は、原油高や輸送コスト上昇、供給不足の影響によって強まる」とした。そのうえで、「物価と雇用の中期的見通し次第では、一段の金融緩和縮小が予想される」と指摘。10月6日の声明と比べて、物価上振れへの警戒感を強めたと判断される。一方、「政策金利は徐々に引き上げられ、景気が期待通りに進展する必要がある」との認識を示し、どの程度の速さで政策金利を引き上げるか議論したことも確認された。
RBNZの政策金利予想をみれば、2022年(3月時点)は0.5%と8月時点と変わっていない。7-9月期の消費者物価指数上昇率は前年比4.9%へ加速しているにも関わらず、追加利上げに慎重であることもうかがえる。それでも、2023年(同)は1.5%から2.0%、2024年(同)は2.0%から2.5%へ引き上げており、引き締め姿勢を維持していく方針だ。アーダーンNZ首相が新型コロナウイルス感染防止対策として、12月3日から新制度に移行すると発表。オークランドでの厳格な制限措置を解除し、新型コロナウイルスの感染状況やワクチン接種率を前提に地域を分類する「信号システム」が導入される。RBNZは、個人消費や企業の設備投資がコロナとの共存に適応していくかどうかの不確実性についてもふれており、今回の追加利上げは、来年2月23日の次回会合までの予防的措置であったとみている。