米国市場の見通し
2021-11-24
■ 物価高騰が続くなかでも米景気は底堅く推移
■ 主要小売企業は年末商戦見通しを上方修正
10月の小売売上高(前月比1.7%増)は3カ月連続の増加。前月分は下方修正されたが、水準でみても市場予想を上回った。物価上昇により販売額が押し上げられたことや、供給制約に対する懸念により年末商戦が例年よりも前倒しされたことが寄与した模様。物価上昇が続くなかでも個人消費の底堅さが示された。
10月の鉱工業生産(前月比1.6%増)は2カ月ぶりに増加。設備稼働率(76.4%)とともに2019年12月以来の高水準となり、コロナ禍以前の水準に復帰した。前月大きく落ち込んだ自動車が大きく持ち直した。供給制約の影響で伸びは抑制されているものの、生産量の復調が続いている。
株式市場では、 S&Pは反発、ダウ平均は続落となった。市場予想を上回る10月の米小売売上高や米企業の良好な決算発表などが材料視されたほか、週後半は米長期金利の低下が追い風となり、S&P500は過去最高値付近で推移した。一方、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることを受けて景気敏感株を中心に売り圧力が強まり、ダウ平均は軟調に推移した。
米国株式市場は25日が感謝祭の祝日で終日休場、26日は短縮取引となり、今週は持ち高を大きく傾け難い日並びとなる。先週の決算発表では、主要小売企業による年末商戦見通しの上方修正が相次いだ。物価上昇が懸念されるなかでも堅調な個人消費が目先の株価を下支えする要因となろう。