米国:消費者心理とは裏腹に個人消費は底堅い
2021-11-22
■ 消費者はインフレによる生活水準の低下を実感
■ 個人消費は堅調で消費者心理と乖離しており、需要の強さを示唆
13日に公表された11月の米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は66.8と2011年11月以来の低水準となった。1年後のインフレ期待は4.8%から4.9%に上昇し、公表元は消費者の4人に1人がインフレによって生活水準が低下していると指摘し、低所得者と高齢者が最も大きな影響を受けている、としている。こうしたなかで、16日に公表された10月の米小売売上高は前月比1.7%増と市場予想(同1.4%増)を上回ったほか、今週発表された小売企業の決算でも業績見通しの上方修正が相次ぎ、個人消費の力強さが確認された。インフレが日常生活に悪影響を及ぼすなかでも家計の支出水準は高止まりしており、消費者信頼感と実際の消費支出には乖離があることが明らかとなった。
その背景には家計の十分な貯蓄があると考えられる。FRBの公表データ(Financial Accounts of the United States Z.1)によれば、家計・非営利法人の普通・貯蓄預金残高は新型コロナ禍前の2019年10-12月期(9兆8345億ドル)から2021年4-6月期(10兆6246億ドル)へと約7900億ドル増加しており、物価上昇下でも十分な貯蓄が消費を下支えしていることが示唆される。年末商戦が前倒しで始まり、品切れを恐れて早めに買い物をする人が増えている可能性が指摘されており、今後の個人消費はその反動で一時的に伸びが鈍化するおそれはあるものの、十分な貯蓄と賃金の伸びが相まって底堅さは保たれよう。