欧州市場:景気持ち直しの兆候の一方で、新型コロナ感染が再拡大
2021-11-18
■ 株式市場では、投資対象の選別が重要な局面に
■ 債券市場は手掛かり材料難で、米英債券市場に振らされる展開か
11月のドイツZEW景況感指数では、現況(12.5、前月比9.1ポイント低下)が2カ月連続で低下した一方、期待(31.7、同9.4ポイント上昇)は6カ月ぶりに上昇した。また、11月のユーロ圏センティックス投資家信頼感指数(18.3、同1.4ポイント上昇)は4カ月ぶりに上昇した。先行きにかけて景気の持ち直しへの期待が広がっている。ただ、欧州では新型コロナウイルス新規感染者数が急増し、一部の国では経済活動制限が再導入されている。ドイツの10月トラック有料走行距離指数(前月比1.6%上昇)は2カ月連続で上昇。同指数は鉱工業生産の先行指標として注目されており、ドイツでは供給制約の影響が緩和し、生産が復調しつつあることが示唆されている。
ストックス欧州600指数は6週続伸。主要企業の決算発表を手掛かりに個別株を物色する動きが継続し、株価はじりじりと上昇した。中国の不動産開発大手がドル建て債券の利払いを実施したと報じられ、中国へのエクスポージャーが大きい鉱山株などが指数上昇をけん引した。
ストックス欧州600指数構成企業の7-9月期決算発表は先週末で一巡した。全体としては市場予想を上回る力強い結果となったものの、一部企業では供給制約が売上高と利益を圧迫している様子が浮き彫りとなっており、投資対象の選別が重要となろう。投資家の関心は景気・物価動向や、新型コロナウイルスの感染再拡大の動向に移るとみられ、上値追いの勢いは限られよう。
独10年国債は反落(利回りは上昇)。週央には、欧州中銀(ECB)のレーン専務理事や金融引き締め積極派と目されるオランダ中銀総裁が早期利上げを否定し、独10年国債利回りは低下する場面もあった。その後、米金利上昇につれて反転し、一時約1週間ぶりの高水準を付けた。
今週は欧州発のイベントが限られ、先週に続き米英債券市場の動向に振らされる展開か。欧州内の材料では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一部の国で活動制限措置を導入する動きが同利回りの重しとなる見込み。一方で、短期金融市場ではすでに2022年に0.2%の利上げ実施見通しが織り込まれ、同利回りの大幅低下にはつながりにくいとみる。