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豪雇用回復の持続性

2021-11-12

■ 10月の豪雇用統計は予想外の悪化、都市封鎖解除に伴う雇用回復の持続性が問われる

■ 賃金が高まればRBAは緩和出口を模索し、豪ドルも底堅さを試す展開か


    豪統計局が11日に発表した10月の雇用統計では、就業者数が前月比4.6万人減と減少幅は前月(同13.8万人減)から縮小したが、3カ月連続でマイナス圏にとどまった。失業率は5.2%と前月から0.6ポイント上昇し4月以来の高水準に悪化、労働参加率は64.7%へ0.1ポイント上昇したものの、3月(66.3%)をピークに低下傾向が続く。豪統計局は、調査期間が9月26日-10月9日で、各州で学期間休暇のスクールホリデーだったことや、ニューサウスウェールズ州政府が新型コロナワクチン接種率による行動制限緩和計画を発表したことなどに言及した。なお、豪中銀(RBA)は5日公表の四半期金融政策報告で、失業率は2022年6月に4.5%、同12月には4.25%、2023年6月は4.00%、同12月には4.00%まで改善すると予測している。

   雇用回復の持続性を問ううえで、17日に公表される7-9月期の賃金指数にも注目。同金融政策報告では、景気動向がRBAのベースラインシナリオに沿えば、賃金の伸びは2023年末までに3.0%前後に近づき、基調インフレ率は2.5%と中銀目標(2-3%)の中央値に達する見通し。ロウRBA総裁は2023年に政策金利を引き上げる可能性を示唆しており、16日公表のRBA理事会議事要旨(2日開催分)で、今後の政策指針に関わる新たな手掛かりが得られるか注目したい。本日のアジア市場は豪雇用回復への懸念が広がり、豪ドル米ドルは発表前の0.73米ドル台前半から0.72米ドル台後半、豪ドル円は83円台後半から同前半へ下げを強め、下値警戒感はくすぶる。円安地合いに流れが戻りつつあるなか、豪ドル円は週足一目均衡表の基準線(82円05銭)や同転換線(82円53銭)を下値メドに底堅さを示すか、豪ドル米ドルが200週移動平均線0.7206米ドル付近で下げ止まるか、来週に向けた相場展開を見極めたい。

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