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11月第4週(11月18日―11月22日)の相場予想

2019-11-18

<先週の動き>

先週は相場全般小幅な動きであったが、米国株式指数は市場最高値を更新したことで、各国の株価も堅調に推移した。香港のデモが過熱しており、ハンセン指数だけはニュースの度に乱高下をしていて、アジア時間は香港での動向を探る展開が中心だった。米中貿易協議の第一弾合意に向けて中国側からは楽観的なコメントが寄せられることが多い中、米国のトランプ大統領は、ある会合で通商、経済対策についての演説を行い、米中第一弾の合意へトーンダウンさせた言及があって、為替は前週のドル高の訂正売りと若干円高での推移で終始した。また英国は、総選挙へ向けてジョンソン首相の保守党が過半数を獲得する見方が高まってはいるが、ポンド相場は若干堅調な動き程度で終わっている。

<今週の相場展望>

米中貿易協議の第一弾合意に向けて中国側は肯定的なトーン、米国側のトランプ大統領は否定的なトーンを使って発言されていることが多い。先週の否定的な発言に対して、グドロー米国経済会議委員長が米中は第一段階合意が近いと発言し、トランプ大統領のそれとは異なるように捉えられている。どちらが正しいニュアンスなのかわからないが、相場もその発言の真意がわからず上へ下へと小動きとなっている。ただ米国株式の史上最高値更新に関しては、トランプ大統領の政治的な思惑から米中貿易協議の第一弾合意への期待、それだけではなく前回の雇用統計や他の経済指標が健闘しているのも理由の一つとして挙げられる。米国株は、アノマリーとして大統領選挙の前年は株価が上昇する確率が高く、今年もそのアノマリー通りの展開となっている。来年11月の大統領選挙(スーパーチューズデー)を前に地方選挙などの前哨戦が始まっており、トランプ大統領には不利な結果となっている。当選に向けて新減税の言及も多く、その期待をも株価をサポートしているようだ。

トランプ大統領は更なる減税策、反して民主党は増税策、このタイミングで財政赤字を増やしても選挙に勝利するためにだが、国民は減税の方が良いに決まっており上手いやり方だと思う。また相手の民主党内では、候補者の中に対等に張り合うような議員がいないこともトランプ大統領にはプラスと、運もまた味方をしている。弾劾の動きは進んでいそうだが、時間がそう多くは残されておらず、足を引っ張る程度で終わってしまうかもしれない。

市場は相場の次なるテーマを常に探し続けるもの。アジア時間での動きの要因となっているのが香港のデモ、死者や怪我人が増えていて、市民生活にも影響が及ぶなどなかなか収まる雰囲気とはなっていない。米中貿易協議の第一弾合意への行方に加味して、香港ハンセン指数は連日大きく振らされる展開が続いており、アジア全体の市場に大きな影響を及ぼしている。ハンセン指数の下落となれば、上海、日経やオーストラリアの株価指数の下落を促し、また為替は円高、豪ドル安が進行しやすい。金は逆にリスクオフの受け皿として買われる動きとなるので、ハンセン指数の動きは把握する必要がある。夜間のトランプ大統領発言での動きも重要だが、日中のアジア時間の動きのボラティリティーが高く、円や株価、金相場が動きやすい環境は継続するだろう。予想としては、先週大きく売られているため、デモに大きな波乱が無ければ、買戻しの動きがでると考えている。米国株式が上昇をリードしているため、買い戻されれば半値戻し27050までの可能性はあるだろう。

英国では総選挙の日取りが決まり、ジョンソン首相率いる与党保守党が支持率45%で大きくリードしていることで、ポンドが堅調となっている。(労働党28%、自由民主党15%、ブレグジット党4%)またシカゴ先物市場の取り組みは、未だ売り越しとなっているが徐々に売り越しを減らす傾向。前回の買い越しは、2017年の終わりごろから2018年6月くらいまでであり、その時のポンドドルのレベルは1.35-1.41で推移した。もし保守党が選挙に勝利し、このまま売り越しから買い越しまで進めば、1.35程度まで買われる可能性はある。しかし、それ以上のレベルは英国の利上げというサポート役が必要となるだろう。利上げには景気の上向き感が必要で、最近の弱い経済統計と利上げに否定的なカーニーBOE総裁の発言を鑑みると、EUから合意離脱しても利上げには直ぐにはつながらず、しばらくの間は経済動向を観察、調査することになるのではと考える。

重要なイベントは比較的少ないが、その中でも注目したい経済指標は、木曜日の米国フィラデルフィア連銀製造業指数、金曜日の各国のPMIである。

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