News

11月第3週(11月11日―11月15日)の相場予想

2019-11-11

<先週の動き>

前週末の米国雇用統計が予想を上回ったことや、米国企業決算が良く、株価は上昇して始まった。為替はやや円高、ドル安で始まったが、中国が中期貸出の金利を引き下げて景気減速を支えようとする思惑が感じ取られ、また米中が通商合意に近づいているという観測が高まって、豪ドルと米ドルが上昇した。それまで堅調だったユーロドルやポンドドルは売りに推され下落となった。木曜日には、米国の中国に対する追加関税を段階的に撤廃することで合意したようで、世界的にリスクオンとなり、米国株式市場は3指数とも史上最高値更新し、逆に金は大きく売られることになった。

<今週の相場展望>

先週米国の3州でトランプ大統領の来年の大統領選の試金石とみられていた知事選と議会選挙が行われ、その結果がクローズアップされている。南部の2州では双方共に民主党が勝利、元々保守党傾向が強いミシシッピ州では共和党が知事選を守った。その中でも南部の一つ、保守党が歴史的に強固だったはずのケンタッキー州で、わずかな差ではあるが民主党候補が共和党の現職を破り新たな知事となった。

この結果は、トランプ大統領にとって党内からの批判をかわせないほど大きいダメージとみられており、来年の大統領選挙に向け不安を残す結果となっている。更に弾劾への動きが強まっている中では、今までの政策を変更せざるを得ないはず。中国へ強硬な態度で追加関税措置を行っているが、それも合意へ向けて着々と態度軟化から合意で株の上昇、また海外からの批判もかわす必要に迫られている。しかし、共和党内からのプッシュもあっての貿易摩擦であるため、難しい説得作業が待っている。

今は、トランプ大統領が中国との貿易だけではなく他国貿易との摩擦を緩やかにしていく方向は見えている。このことから株価上昇、ドル高、金は一旦売りの方向と相場は動いている。金の売りは、FRBが今後の金利水準を様子見としていることと、先週の雇用統計からのダブルパンチが効いているようでドル買い方向。短期筋の金の買い持ちポジション勢は、たまらず売りに回っている様子である。米国が利下げを止めても、ECBや日本はそれぞれの経済状況を鑑みると、まだまだ緩和状態を変える材料は見当たらない。金の長期保有はまだまだ保有する方向だと考えており、英国の総選挙に向けて、買戻しも垣間見られるだろう。傾向としては、11月に入る直前からドル指数と金の相関関係が強くなっている。

今週のイベントとして、ニュージーランドの金利発表や各国の物価指数などがある。また英国の経済指標発表が多く、GDP、失業率、物価指数や小売売上高の発表が控えている。総選挙前でEU離脱への各党の思惑や動きが報道されているが、どちらとの言えない相場で影響が限定的だろう。その間に経済指標での上げ下げが見られることとなる。ポンドとユーロの欧州通貨は、先週下げた反動でのショートカバーの買いが散見される予測をしている。ユーロドルは1.09701.1090、ポンドドルは25日移動平均線でサポートされている傾向があり、現在はサポート線のやや上で推移している。1.27801.2930での最近ではやや小さなレンジ内での取引を予想する。

また上昇傾向のドル円は、円安というよりドル買いがサポートしている。日本企業輸出の売りをこなして上昇しているだけに出来高はそれなりに多いはず、109.50上抜けが110円台突入の合図になると考える。110.50の抵抗線まで上昇すれば再度売りで重くなる展開を予想している。逆に金相場は下落が加速している。今年4月から上昇の38.2%戻しの1445ドル、半値戻しである1412ドルまでの押しが考えられるが、半値戻しのレベルは押し目買いで臨みたいところ。

TOP