市場の関心はFOMCから10月の米雇用統計へ
2021-11-05
■ FRBは資産購入ペースの縮小を決定、パウエル議長は利上げに関わる明言を避けた
■ 10月の雇用統計が市場予想通りであれば、市場のボラティリティは高まっても一時的な動きに
米連邦準備理事会(FRB)は2、3日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.00-0.25%に据え置いた。昨年12月以降、景気が委員会の目標に向けてさらに著しく進展したことを踏まえ、資産購入の月額を、米国債で100億ドル、住宅ローン担保証券で50億ドル縮小することを決定。今月後半から開始し、12月前半も同措置を講じると言及した。声明文を額面通りに受け取れば、同プログラムは2022年6月に終了することになる。今後については、経済見通しの変化次第で調整する用意があるとの見解が示された。インフレ高進は一過性だとする認識は声明文でも微修正されており、政策決定後も2022年後半の利上げを織り込む市場の期待は続く。
パウエルFRB議長は、利上げに関わる政策指針について明言を避けたが、FRBの政策判断の手掛かりとされる個人消費支出(PCE)デフレーター上昇率は9月に前年比4.4%へ伸びを高め、コア指数も同3.6%で高止まりが続く。12月14、15日開催の年内最後の会合では、FOMC参加者の金利予測分布図(ドットチャート)や経済見通しも公表される。利上げ開始を2022年と予想する参加者が増えるか、市場の関心は米労働省が5日に公表する10月の雇用統計に移る。特に平均時給の伸びが高まるかどうか注目。ただ、同議長は、新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす労働市場への影響を判断するには時間が掛かると指摘していることから、金融市場の価格変動の度合いが高まっても、一時的な動きにとどまるだろう。