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11月第2週(11月4日―11月8日)の相場予想

2019-11-04

<先週の動き>

前半はFOMCを控えて小動きで、結果は市場の大方の予想通りで0.25%の利下げ。その後のパウエルFRB総裁の声明文では、「景気拡大維持のための適切な行動」という文言が削除され、「今後は適切な金利水準を模索する」という内容の発言があり、市場からは利下げは一旦休止と捉えられたが市場は若干のドル売り。

翌日の日銀金融政策決定会合では、やや期待されていた緩和への動きはなく、現在の長期金利を下回る水準も想定するとし、先行きの緩和に若干の含みを持たせた程度だった。それを受けて、日米の長期金利差がやや縮小し、109円台に乗せたドル円は107円台まで沈む結果となった。木曜日に、中国サイドから米国との長期的な貿易合意に関して否定的な発言があったことが株価の上値を重くした。

英国EU離脱に関しては、EU側が3か月延期を認めたため、次なる期限は来年の1月末と決定された。ポンドは小動きの中で堅調推移となった。

<今週の相場展望>

英国議会はEU離脱期限の延長を受けて、ジョンソン首相からの1212日の総選挙案を可決した。今後注目となる総選挙の焦点は離脱で、ジョンソン首相の保守党は議席数を伸ばし、今回EUと合意した内容で離脱する支持を得たいはず。しかし、選挙の結果や離脱へ2回目の国民投票など不安要素は残るが、EUがジョンソン首相との離脱案に合意したことがポンドのサポートとなってくるだろう。ポンドは数週間前から、投機筋が長い間の売りポジションを手仕舞い始め、ショートポジション巻き戻しが始まったことを鑑みると、しばらくは堅調な動きとなる可能性が高いと考える。

<<シカゴ先物市場におけるポンドの投機的ポジション推移>>

ポンドショート(売り越し)

1015日 72952枚

1022日 52440枚

1029日 32415枚

南米のチリでのAPEC会議開催の中止を受けて、会議にあわせて予定していた米中首脳会談を別の場所で行うという方針を示しており、場所や期日の予定発表が気になるところ。イベントでは、大きな経済指標などはないが、景気悪化懸念で国内外から財政出動を求められていることから、ドイツの製造業新規受注や鉱工業生産指数には注目したい。また米中の貿易関連の指標、米国貿易収支が火曜日、中国貿易収支が金曜日に発表される。トランプ大統領がこの結果に絡んで発言があるのかどうか、引き続き要注意。

株価は米国のS&P指数とナスダック指数がまず史上最高値更新でリードし、ダウも好調な雇用統計を受け追随した。日経平均も今年の最高値を更新中で、景気後退まで示唆されているドイツDAXも年初来の高値を早々と更新中である。これは世界中銀の金融緩和によって起きているものではあり、企業業績は決算内容もファンダメンタルでは今一歩。ただチャートからのテクニカル指標は、短期では過熱感もあるが、数か月タームでは堅調な動きを示唆する指標も増えてきている。株価の上昇が円安を支えており、どちらかというとリスクオンが継続中で、クロス円が高止まりしている。


先週は全般にはドル売り相場。ユーロドル、ポンドドルが堅調で、原油と金価格が上昇している。FOMC後のパウエルFRB総裁が利下げ休止とも捉えられる発言があったのにドル売りとは、何とも難しい相場付きとなっている。今週は、好結果の米国雇用統計で最高値更新の株価を背景に、リスクオンのクロス円かどうか、ユーロ円やポンド円が直近の高値を更新すれば上昇基調が強まる可能性が大きい。またポンドドルは堅調、ユーロは強め、金は1500ドルを下値に堅調な動きと予想している。


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