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米国株:市場の関心は企業業績から金融政策に

2021-11-03

■ 総じて良好な決算発表が株価を押し上げ、供給制約やコスト増の持続性を注視

■ 市場の関心は物価動向や金融政策に移行、FRBの物価認識に注目


   米国で主要企業の7-9月期決算発表が折り返し地点を迎えた。情報会社リフィニティブの集計によれば、1日までにS&P500構成企業のうち280社が決算発表を終え、このうち82%の企業の一株当たり利益(EPS)が事前予想を上回った。また、同期のEPSは前年比39.2%増加すると見込まれ、10月初め(同29.4%増)から上方修正幅が徐々に広がっている。供給制約、および人件費や資源価格の高騰などによるコスト増が一部企業の業績を圧迫したことが確認されたものの、市場ではこうした悪影響は一時的なものと解釈された模様で、総じて良好な決算発表を手掛かりに、1日も主要3指数揃って過去最高値を更新している。
   ただ、企業業績の先行きについては慎重な見方が強まりつつある。10-12月期以降のEPS見通しは上方修正の動きがほとんどみられていないほか、2022年通年のEPSは前年比7.7%増と10月初め(同9.2%増)から下方修正されている。供給制約やコスト増などの業績下押し要因がどの程度持続するか注視すべきであろう。
   なお、今週も169社が決算発表を予定しており、これを材料に個別銘柄の物色が続くと思われるが、これまでより小粒な印象が強く、投資家の関心は徐々に物価動向や金融政策に移行していくと思われる。米連邦公開市場委員会(FOMC)は日本時間4日午前3時に結果を発表し、その後パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が記者会見を行う。資産買い入れの段階的縮小(テーパリング)の年内開始と来年半ばでの終了は市場に織り込まれているが、利上げについては慎重姿勢が保たれる公算が大きい。ただ、FOMC声明文やパウエルFRB議長の記者会見で、インフレは一時的との解釈が修正されるような手掛かりが示された場合には、利上げ前倒し観測が強まり株価変動性が高まるおそれがある。FRBの物価認識を注視したい。
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