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11月第1週の相場展望(11月1日~11月5日)

2021-11-01

日銀の金融政策決定会合は前回と変わらず、その後の黒田総裁定例記者会見の内容もまた前回とほぼ同様のとなっているが、細かく見ていくと「物価は先行き徐々に上昇率を高めていく」「景気の先行き回復していくとみられる」など は前回同様の内容であるが、「日本経済、輸出・生産が供給制約で一時的減速見込まれる」「経済見通しのリスク、当面は下振れリスクが大きい」と先行きの経済動向にはネガティブな要素も想定されており、また「他国中銀の緩和縮小は日本の金融政策に影響しない」というコメントもあり、米英がテーパリング方向へ舵を切っていることは日本の金融政策には影響しない、暗に外国の物価高は日本には響かないとコメントされていることで、強力な金融緩和継続へのメッセージとなる。海外が利上げに向かおうが、国内物価を注視していることは何ら変化がない様子。

欧州ECBも現行の金融緩和を維持し、来年には物価圧力緩和へとインフレが徐々に収まってくる予想をしており、ユーロ圏の物価を一時的に押し上げている要因が3点あることを指摘した。
①エネルギー価格高騰
②需給の世界的なミスマッチ
③ドイツの付加価値税減税の終了
で 全て一過性の影響と割り切っているようだ。 確かに原油価格は新型コロナからの脱却期待とOPECの増産体制への遅れ、また半導体の製造が遅れたことは新型コロナの影響であろうが、それが全て来年早々に収まるかは不透明であり限定は出来ないこと。欧州も新型コロナ感染の再拡大へ不安が残っているかのようだ。ECBのスタンスが金融緩和維持である限りユーロの上昇は抑えられてしまう。英国は米国と連動したかのように、テーパリングから利上げ方向への動きがでているが、直近の新型コロナ感染者増が気になるところ。 今のところ確実なテーパリングは米国のみとなった感がある。

今月開催のFOMCでテーパリング開始が予想され、市場はそれを織り込む形で米国10年債が1.7%を付けた後は下落しており、1.5%台後半まで下がってきている。それに伴いドルも軟調推移となっており、ドル円は113台前半まで沈んだ。113円台前半から下は輸入勢の買い需要が見られるようで下げ渋り、113台でのもみ合いとなった。先週発表された米国GDPは予想を下回ったが、バイデン大統領が掲げていた増税額が予想の範囲内だったことで、市場は安堵し株価には良い影響を与えている。米国企業決算は好調で市場予想をほぼ上回った決算の企業が多く、米国株だけはユーフォリア状態が継続中である。米国10年債利回りは今後1.5%を下値に徐々に底値を切り上げる展開を予想する。米国金利に連動してドル円も調整後は115円台乗せとなってくるのではないか。下値は25日移動平均線の113.00から直近安値の113.24辺りがサポートレベル、上値は114.50~115.00に抵抗があり、115円を上回るとやや加速傾向か。今週は金曜日の米国雇用統計までは5日移動平均線にまとわりつくような動きが予想される。週末に日本の衆議院選挙が行われ、自民党が予想以上の健闘をしたため株価は上昇へ、為替は円安方向へ向かっている。ただ期待で既に織り込み部分もあっての上昇なため、選挙がきっかけでリスクオンとなり上昇が継続するとは考えづらい。市場は今後の新たな政策を測っていくこととなろう。

ドル円日足チャート


今週は、米国で注目の雇用統計の発表がある。先月は非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回って金利が一時的に下落となったが、その後金利が反転上昇し、ドルは高値で週を終えた。今週は、非農業部門雇用者数の予想は45万人となっており、先月分が今月に持ち越された数値も入っているようだ。中銀のテーパリング前の雇用統計だけに注目が集まってくるだろう。中国では、10月の製造業PMIが発表予定で、電力使用制限の中で製造業指数の数値が気になるところ。香港でも7-9月GDPの発表が予定されており、減速懸念のある中国本土の経済動向の影響が大きいため、市場関係者はこの数値にも敏感になろう。安値から一旦戻った香港ハンセン指数だが、先週は一貫して下落しており、今後の動きを占うのに重要な指標となる可能性がある。また米国ISM製造業景況指数、ドイツの製造業新規受注や鉱工業生産など半導体が影響を及ぼしそうな指標にも市場は注目しているようだ。
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