欧州株:業績改善のセクター間格差が大きい
2021-10-28
■ 欧州主要企業の決算発表は順調な滑り出し
■ 業績改善のセクター間格差は米国より大きく、株価動向にも影響しよう
欧州で主要企業の7-9月期決算発表が本格化している。情報会社リフィニティブの集計によれば、26日までにストックス欧州600指数構成企業のうち76社が決算発表を終えた。このうち、66%の企業の一株当たり利益(EPS)が事前予想を上回り、2011年以降の同期平均(52%)を超える水準にある。また、同期のEPSは前年比52.0%増と見込まれ、10月初め(同45.8%増)から上方修正が続いているほか、2021年通年のEPS見通しに関しても上方修正の動きが再び強まっている。ここまでの決算発表は順調な滑り出しをみせており、ストックス欧州600指数は過去最高値を更新する勢いとなっている。
しかしながら、業績改善のセクター間格差が広がっていることが気がかりだ。エネルギー(前年比536%増)、資本財(同216%増)、素材(同133%増)など、前年の水準が低く、新型コロナ禍からの経済活動の正常化の恩恵を受けるセクターが全体をけん引する一方で、公益(同10%減)、生活必需品(同8%減)、ヘルスケア(7%増)など、資源価格高騰の悪影響が及びやすい、もしくは新型コロナ禍の恩恵を先行して受けてきたセクターの伸び悩みが目立っている。こうした傾向は米S&P500構成企業の間でも確認できるが、欧州の方が顕著となっている。基調的な企業業績は米国株より欧州株の方が相対的に弱いとみられ、株価のパフォーマンスの違いとなって表れよう。