ドル高・円安へのトレンド転換か
2021-10-26
■ ドル円は6年近く続いた99-125円の「持ち合い相場」を解消したと判断される
■ 目先はドル高・円安のスピード調整が進もうが、112-115円で強含みに推移へ
株式や為替の投資価値の判断は、経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)分析で十分といわれる。ただ、変化していく経済・市場環境に先行して、市場参加者が株価や為替レートを先読みすることは間々ある。こうした点を踏まえ、過去の値動きをチャートで表記し、トレンドやパターンを把握するテクニカル分析は、将来の相場動向を予測するうえで有効だとする考えもある。
ドル円は2015年6月高値125円85銭を上限、2016年6月安値99円08銭を下限に上下動を繰り返す「持ち合い相場」が6年近く続いた。方向感を欠くなかでも、振れ幅は着実に狭まり、前述高値125円85銭を起点とする右肩下がりのトレンドライン・上値抵抗線を、今年3月から4月にかけて109円前後で上抜けた。長期的にみれば、ドル円は2015年6月以降続いたドル安・円高がドル高・円安の基調に転じたとみることが出来る。
移動平均線など相場の方向性を分析するトレンド系に対して、相対力指数(RSI)など価格変動を通して強弱を分析するオシレーター系は、「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を示す分析として知られている。直近の一定期間における上昇・下落変動(終値ベース)のいずれの勢いが強いかを計測するRSIについて、ドル円は20日に74%(14日間)と「買われ過ぎ」のサインが点灯した。ただし、14日間と短期的な分析である。114円69銭の高値を付けた後の調整について、先ずは9月高値112円07銭を下値メドに底堅さが試されると予想する。