News

10月第5週の相場展望(10月25日~10月29日)

2021-10-25

先週の為替相場は円相場の上値の重さから全般調整局面となった。ドルは米国の長短金利の動きとの連動性が強く出て、週初は下落したが後半は上昇に転じている。米国10年債利回りは一時1.7%を付けており、上昇気配がなかなか収まらない。米国の夜中であるアジア市場での動きが激しく、それにつれて同時間内での為替と株価に影響を及ぼしている。パウエルFRB議長は金曜日に、「テーパリング後の利上げについては不透明でまだ時期ではない」というコメントを述べており、ドルはやや低下して週を終えている。11月の米国FOMCを前にしてテーパリングに関しては1.6%辺りでほぼ織り込んだ形と考えており、市場は来年の利上げタイミングを計りながらの金利動向となっているようで、米国金利動向が大きなテーマとして直近の相場要因の中心となっている。

米国の9月住宅着工件数は伸び悩んでおり、前月比1.6%減で今年の4月以来の低水準であり、住宅価格の上昇が原因で買いの手が引いているようだ。ただ中古住宅販売件数は予想を上回って堅調に推移しており、住宅市場自体の動きは悪くないことでインフレ傾向と景気回復が順調なことが伺える。また原油価格の上昇もインフレプッシュの役目を果たしており、今後はそれが最終消費財に転嫁されると物価の上昇を後押しするだろう。テーパリングは待ったなしで正常な市場操作と考える。個人的には、株価の上昇度を感が見えても年内にも金利を上げてもよさそうだが、FRBは株価や為替は見ておらず、それより米国内の新型コロナ新規感染者数が週平均で未だ7万人程度いてなかなか収まらないことが利上げへ抵抗と見られている部分が強い。FRB各委員からのコメントから、半導体不足からの部品調達に時間が掛かることで今後関連製品の生産等に悪影響が及ぶことや消費の戻りが一巡したあとの景気の影響なども加味する必要があり、先行きの見通しが不透明なままであるのは変わらない。

テーパリング後の動き、利上げが緩慢になるとの見方から、再度金価格やビットコインの上昇が顕著になっている。金は、世界的なエネルギー価格の高騰を受けて強まっているインフレ懸念や、サプライチェーン(供給網)の混乱による景気への影響を警戒し、安全資産としての金の買いが多く出ているようだ。昨年8月から上値が切り下がる中期下落相場の途中と見られるが、安値は1675~1680ドルで3回底入れしたことで、底値は堅く、それらの間でもみあいが継続中。短期からの視点だと、今年6月の1916ドルを高値に8月安値の1680付近の間で短期ももみあいの動きとなっている。短期では三角持ち合い相場が形成されており、短期トレンド(ピンク線と黄色線)内での動きに終始されている。持ち合い相場は基本的には、5回上下にタッチしたあとどちらかにブレイクする可能性が高まるが、その通りの動きである。持ち合い内が継続する条件では来週も1740~1835付近での動きに限定されやすい。今回1815ドルをしっかり上に抜けると上昇の可能性が強く、もう一度下げて一目均衡表で雲の下限である1760付近を下回ると今度は下値ブレイクに注意が必要だ。月曜日である今日時点では、1790付近の下落トレンドを上に抜けているがまだだましの可能性も残っており明確な上抜け確認までもう少し見たいところ。強い抵抗が1830-35ドルにあるため注意したい。タイミングからは来月中にどちらかのトレンドが発生する可能性が大きく、そろそろ金の変動率も上がってくるかもしれないので注意が必要だ。テクニカル指標であるRSI(14)は、上下共に短期トレンドラインとほぼ連動しており、RSIのブレイクが先となれば動きの指標となるだろうから見ておく必要がありそうだ。

金の日足チャート


ドル・円は先週、114.68をつける場面があった。その後は頭の重い展開となっているものの、基調的なドル上昇トレンドに今のところ大きな変化は見られない。上昇トレンドを支えるサポートラインは今後徐々に上がっていて113円台半ば付近を推移しており、一日に18銭ほどの上昇となっている。ドル・円がこれより上で推移する限り、トレンドは継続される。逆に、下に破られると上昇リズムが変化する可能性があり、調整度合いが強まりそうだ。下値の目処は強めのサポートが113.20、またその下値は112.10~30レベルがサポートしそうだ。このまま堅調推移が続いていくと、上値に関しては高値の114.68、一度破られても輸出勢の売りが以前より増加していることを考慮に入れておく必要があり、再度の調整の可能性も考えられる。ストップの買いはやはり115円台に上がっており、ここに乗せると始めは売り需要もあるだろうが、115円台の半ば以降は上値がやや軽くなると考えている。 今回のテーパリングは織り込んでおり、115円台の重さは否めないが、今後更に米国長期金利の上昇で金利差が拡大すれば、徐々に円相場の変動率は高まる傾向にあると思われる。

ドル円日足チャート

今週は米国で住宅関連指数と7-9月のGDP及び消費者信頼感関連指数など経済指標が多く発表される。ロックダウン解除後のコロナ禍を抜け出して消費に底堅さが見えるのか、また住宅販売基調の行方も気になるところ。欧州では物価指数や、米国と同様に7-9月GDPと消費者信頼感の数値が発表予定。また日銀と欧州ECBは金融政策を発表する。米国FRBが来月テーパリングを行うことが明確となっており、その影響が若干でも見られる内容になるのかどうか、政策発表後の中銀総裁による定例記者会見に注目が集まる。
TOP