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10月第4週の相場展望(10月18日~10月22日)

2021-10-18

米国CPIは予想通りで相場は織り込んでおり大きな波乱はなかった。米国FRBの議事要旨では、11月のテーパリング着手を確定的なものとして捉えているということで、長期金利は10年債利回りで1.63付近を高値にテーパリング開始を既に織り込んでいる。細かく言うと、FRBが公開している先行きの金利予想をチャート化しているFRBドットチャートからは、2022年9月までに0.25%の利上げ実施をほぼ織り込む形となっている。今後は欧州ECBや英国BOEなどが遅ればせながら追随するか注目していきたい。相対的にドル高から円安へ舵を切った感のある為替相場の動きからは目が離せない。

欧州ECBの委員達からはこのところインフレ懸念コメントが増えてきており、ラガルドECB総裁は未だインフレ懸念を小さく見ているようだが他の委員との考えに若干違いが見られるようだ。各委員は彼らの国の景気などを鑑みるため、全体を見ているようでそうではない。米国における地区連銀のようなものだが、国の代表となるだけにそれ以上に各国の状況を反映させる必要が出てくることからいつもながらECBの意見統一には時間が掛かる。しかし、インフレ懸念や新型コロナ脱却に対応して政策を変更すべきという意見がやや増えていることで、ユーロも底打ちしやや反転しそうな気配もある。米国の金利上昇が政策織り込みで落ち着いていることで、ドル買いは一旦落ち着いている。世界全体としては、中央銀行の金融政策方向感から日本のテーパリングへの出遅れは間違いなく、それが円安を促す大きなエネルギーとなっている。最初はドル高でドル円が上昇し、豪円、ポンド円が続いた。先週はユーロ円の上昇が目立っており、それらに追いつく形となっている。先進諸国全体からは円独歩安の展開で、日本の菅首相が辞任をした後から、徐々に円安が加速している。

ドル円は、4年前辺りから114-115円台で何度も跳ね返され、その後100円台半ばまで下げる展開が幾度もあり、114円―115円付近は売りが多いと予想している。短期的にも上昇に対して過熱感が台頭しているため、114円台到達後は本邦輸入勢の注文へのストップハンティングで上がるだろうが、落ち着けば115円までにもみ合いを予想する。テクニカルから計算すると月内で115.46が一応のターゲットとしているが、最終的に年内とすると116~118円程度はありそう。今後は原油価格の上昇とワクチン輸入から貿易赤字は拡大懸念が残り、貿易統計からも円安を後押しすることになりそうだ。上値は115.00が一応の抵抗レベルであり、下値は上昇期に2度止められたレベルの113.78。25日と75日移動平均線がゴールデンクロスした111円台からは約2週間で3円ほど上昇しており、RSIも70を突破していることで短期過熱感は否めない。トレンドが出ているため大きく調整とはならないとは思うが、一応今週の下値は113.20付近まで見ておきたい。

ドル円日足チャート


先週金曜日は、米国経済指標の小売売上高が良く、ニューヨーク連銀製造業指数、ミシガン大学消費者態度指数の二つが予想を下回ってまちまちの結果だったが、小売売上からのインパクトと短期モメンタムの円安で上のストップの買いを付けに行く動き(ストップハンティング)が顕著に見て取れる。米国市場では特に週末前となると、アジア勢は既に終わっており、欧州の午後は大手市場参加者もポジション調整が主であるので、米国勢単独の売買が中心となっている。となると売買注文が少ない時間帯で、最高値以上での損失覚悟の買い注文と最安値以下での損失覚悟の売り注文(ストップロス注文)を意図的に付けに行く大手金融機関の動きが強まってくる。この動きが円通貨の上への動きに繋がったと思われる。ユーロ円やポンド円、豪円はドル円と比べても出来高が少ないので、ドル円さえ堅調さが保たれれば上げやすい通貨ペアである。 上値が伸びたために週明けの円相場はやや水準訂正からスタートすることになりそうだ。

テーパリングと来年の利上げを織り込んだ後の相場では、米国株の上昇基調が戻ってきたようだ。国債利回りも徐々に低下しはじめており、木曜日のS&P指数の上昇率は今年3月以来の大きさとなり、ナスダック指数、ダウ平均共に大幅な上昇率を記録した。企業決算発表は始まったばかりだがS&P総合500種指数採用企業の第3・四半期利益は前年同期比では約30%増加すると見込まれていて今のところは好決算が多い。主要銀行大手4行の決算は好調で、総じて消費支出の増加が指摘されている。3指数ともに長期から短期移動平均からの乖離率は若干プラスになっているだけで、大きな乖離とはなっていない、下げを埋めた感じで平均的なレベルまで戻してきた感じを受け、ダウやナスダック共に割高感はそう大きくはない。

今週は中国の経済指標、GDP,鉱工業生産に小売売上高が発表される。直近でやや落ち込みつつある消費や電力制限による生産動向の結果に注目したい。また米国では地区連銀経済報告のベージュブックが来月のテーパリングのサポートになるかどうか。金曜日には欧米でPMI景気動向指数が発表される。
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