10月第4週(10月21日―10月25日)の相場予想
2019-10-21
<先週の動き>
以前と同様に、米中貿易協議の進行度と英国EU離脱問題が2つの大きなテーマを背景に動いている。
米中貿易協議の第一弾合意がほぼ確定に近いが、詳細への合意を求めている中国サイドと米国の温度差やまだ若干あり、来月の署名まで詰める内容は残されている様子とされ、これに関しては、相場は様子見で小康状態となりました。英国EU離脱に関しては、英国ジョンソン首相がEUに対して離脱協定案を修正することでEUサイドも承認したことを受けてポンドが買われた。
<今週の相場展望>
米中貿易協議で第一弾の合意がほぼなされて、来月の16-17日に開催されるAPECアジア太平洋経済協力会議での米中首脳会談に際に、文書署名が行われる予定。日本も日米貿易協議では、農産物の合意は
なされたが、残りの自動車などは協議継続となっている。いつの間にか第一弾、第二弾と市場への影響を緩和するかのように段階を入れるように文言が変化しており、第一弾で全面合意ではないはずであってもリスクの緩和の雰囲気と捉えられ、今後も合意へ向けていくかのように報道されているのが気にかかる。ただ市場は部分合意があった → 少しずつ合意へ向かう。という連想が進んでいて、投資家は全面合意に先んじてリスクを取り始めている。貿易部分合意に加えて、英国がEUと合意離脱の方向で市場は織り込んでいる段階と考えられる。株価や金価格は小動きであるが、ポンドのみでなく、ユーロの上昇もあってユーロ円、ポンド円の上昇がドル円の上昇を支えており、全般にリスクオンの円安がそれを証明していると考えている。加えて、今後の日銀金融緩和期待感から、それをやや織り込み始めたことも影響しているようだ。
現在のリスクオンに対しては、クロス円の中でもポンド円もそうだが、出来高が多いユーロ円の上昇をみるとわかりやすい。一目均衡表では、雲の上限119.60付近を上回ったところから再度上昇が加速している。日足で25日移動平均線が今年の2月以来の上向きに傾いていることでしばらくは堅調な動きを想定している。週末には、修正合意内容が英国議会で可決せず、関連法案が成立するまで採決を先送りにする動議が可決され、同日中に離脱案に対する議会の承認が得られなくなり、ジョンソン首相は、来年1月31日までの離脱延期をEUに書面で要請することを余儀なくされている。今月末までまだ予断を許さない状況だが、合意への可能性を予想した買戻しは未だ続いている様子。
ポンド (シカゴ先物市場での取組)
|
10月15日終了週 |
前週 |
ロング |
25,431 |
29,482 |
ショート |
98,383 |
102,701 |
ネット |
-72,952 |
-73,219 |
先週15日時点までのポンドポジションは上の表のように、前週と大きく変わっていない。火曜日以降に約200ポイント上昇しているが、この結果からは、短期筋の買いが中心となっているように考えられることで、まだこのまま上昇が継続するかには疑問が持たれる相場だと思われる。合意に向けての協議次第では、再度下落となる可能性もあるので注意が必要となってくるだろう。
(今週の注目イベント)
米中貿易協議は合意まで大きな動きはないだろうが、英国EU離脱は今週も引き続き相場を大きく動かす可能性が大きい。
今週は木曜日に欧州PMI購買担当者の景気指数が発表される。ドイツの景況感悪化が影響しているとユーロ売りにつながる可能性がある。また同日にECB政策金利委員会が開催される。ドラギ総裁最後のECBとなり、大きな政策変更はなさそう。同日に米国PMI、翌日にミシガン大学消費者態度指数の発表が控えている。