ドル円の潮目
2021-10-13
■ ドル円は2018年12月以来の113円台を回復し、同半ばを視野に入れる展開
■ ドルの一段高が進むには、日米金利差が実質ベースでゼロに近づく証左が条件に
ドル円は本日のアジア市場でも上値を探る展開が続き、113円台半ばをうかがう動きとなっている。米長期金利上昇を通じて、日米金利差は名目ベースで拡大傾向、実質ベースではマイナス幅が縮小傾向を強めるなか、ドル円との相関係数は直近3年間では日米株がほぼゼロで無相関に近い一方、日米長期金利差は名目・実質ベースで0.5を超え比較的高い。米連邦準備理事会(FRB)が資産購入の段階的縮小を年内に開始するとの観測は強まっており、金融政策を緩和から引き締めに向けて舵を切ったことで、ドル円の潮目は大きく変わり始めていると判断される。
1971年12月、米ワシントンで開催された10カ国蔵相会議で合意されたスミソニアン協定では、ドルを中心とする国際通貨体制が構築され、ドルの切り下げと各国通貨のドルに対する切り上げが決定され、ドル円は1ドル=360円から308円に下落。ドル円は40年にわたり史上最安値を更新し続けたが、2011年10月に1ドル=75円台で大底を打ち、2015年6月には125円台を回復。直近5年間は下値余地を模索したが、昨年3月に101円台の安値を付けて再び反転上昇、7年ぶりのドル高・円安に向かっている。現在、日米10年債利回り差は1.52%、将来予想される物価上昇率を指し引いた実質ベースではマイナス0.62%、と低位で推移。ドル円を一段と押し上げるためには、少なくとも日米実質金利差がゼロに近づく証左が示されることが条件となろう。