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ドル円は110-112円を中心に強含みへ

2021-10-04

■ ドル円は昨年2月以来の112円台前半へ上伸後、ドル高が一服

■ 日米長期金利差とドルインデックスに着目し、ドル高・円安が一段と強まると予想

   ドル円は9月30日の欧米市場で112円台前半まで上伸、昨年2月21日以来の高値を付けた。ドル高・円安に弾みがついたのは、同21、22日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策決定やFOMC参加者の経済見通し(SEP)で、11月もしくは12月のFOMCで緩和縮小の開始が示唆されたほか、政策金利見通し(中央値)が2022年に前倒しされたことが主因であろう。昨日、米議会上下両院では暫定予算が成立し、連邦政府機関の閉鎖は回避されたが、12月3日までの予算が確保されたに過ぎない。下院は連邦債務の上限適用を2022年12月まで凍結する法案を可決したが、共和党が再び阻止する可能性は高く、米国が債務不履行に陥るとの懸念はくすぶる。こうしたなかで、米長期金利上昇を背景とするドル高が続くのか、10月8日発表の9月雇用統計を控えて、重要な米経済指標が相次ぎ、注目される。

   市場では、「金融政策の正常化」にテーマが移るなか、ドル円の上昇はクロス円の動向もカギを握りそうだ。ブラジル中銀は3月以降に5会合連続で利上げを決定、政策金利は2.00%から6.25%に引き上げられた。レアル円は18円台半ばを底に、6月には22円台後半まで上昇し昨年3月以来のレアル高・円安を更新。その後は下落基調に転じ、8月下旬には20円ちょうど近くの安値を付けた。今後も追加利上げは見込まれるが、景気減速と物価高のリスクや政局不安がくすぶり、レアル高の持続性に懐疑的な市場心理が反映された。先進国通貨では10月6日の利上げが確実視されているNZドルなどクロス円での円安が一服している。こうしたなか、日米10年国債利回り差は7月のFOMC後以降1.20%から1.43%まで拡大。ドル円との相関性は比較的高く、同利回り差が3月下旬(1.60%)を超える拡大幅となれば、ドルインデックスが底入れ感を強めていることにも着目し、ドル円は110-112円を中心に強含むとみている。
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