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10月第3週(10月14日―10月18日)の相場予想

2019-10-14


<先週の動き>

全般には、米中貿易協議への思惑とそれに関する発言等から上下する動きで、週末は期待感と部分合意の流れで買戻しからリスクオンに傾きました。まず米国が新疆ウイグル自治区のイスラム教徒への弾圧や虐待などを理由に中国政府や共産党対するビザ発給を制限すると発表し、貿易協議にも不安感が募りドル安、株安となった。その後中国が米国との部分的な通商合意を受け入れる用意があることや米国も通貨協定をする可能性があると報道されたことなどで期待感が膨らみ、株価上昇、円安へと傾いていった。金曜日には、米国サイドから15日の関税引き上げは見送るという報道があって、リスクオンが加速して終わっています。

 

<今週の相場展望>

月曜日は、日本と米国などが休場でやや抑えた相場で、ポジション調整が中心となりそう。ただ英国EU離脱に関しては常に監視が必要な環境は続いています。

先週はポンドが乱高下し、英国は合意なき離脱をすると予想する向きが増えていたことで軟調推移しましたが、EU側が離脱交渉で大きな譲歩に同意する可能性があると報じて反転するきっかけとなりました。ジョンソン首相がアイルランドの首相と会談したことも好材料とされ上昇が加速することになりました。金曜日には、10月末までの合意を実現するため「縮小版」自由貿易協定(FTA)の提案をするという報道がなされ、合意に前向きが動きと捉えられてポンド買い加速の動きとなっています。まだ合意延期というオプションも残っており、どのような決着を見せるのかわからない中での動きが継続しそうです。



 ポンドに関しての考察ですが、需給面から考えてみましょう。 108日のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)では、ポンドの投機的な先物ポジションが73219枚のショートとなり、売り越し額が減少しています。その後10日、11日と上昇しているポンド相場から考えると、ショートの縮小は更に進んでいると思われます。ここまで長期でショートポジション保有だった投資家は、スワップ金利と相まって大きな利益を上げたことでしょう。最高水準の売り越し額は、20174月の時点で106000枚のショート、今年も86日時点で10万枚以上を売り越しました。そのポジションの巻き戻しが本格的になっているとなると、ブレグジットの行方次第では、今年6月の1.2780付近を捉える動きの可能性が出てきそうです。しかしこれも今月内の合意内容次第となってくるのでしょう。今週は、ポンドドルで1.2200-1.2800、ポンド円では134.50-140.00の大きなレンジを想定しています。

またドル円は、各社輸出企業の下期の採算レートが108円半ばから109円までに集中しています。もしこの間の大量の売りをこなして109円トライがあると残った売り指値を上げようとする動きの可能性があり、注目のレベルだと思っています。109.00から8月高値の109.31まで売りをこなして上昇することがあれば、110円台が見えてくるでしょう。

米中貿易協議は概ね部分合意で進んでいるようですが、米国側からみるとこれは第一弾の合意であり、更に第二、第三の合意をする意向があるようです。この協議は継続していき、今までの関税措置は変わらずということなので、市場のマインドからは好印象だが実際は全面合意まで幾つものハードルが残されています。流れからみてややリスクオンの環境になってきた中、ドル高、株高、円安、金安の傾向となりそうですが、完全決着が見えるまで上下の動きは継続すると思われ、今後も引き続き両国の貿易協議から相場を動かすネタを探していくことになるでしょう。ただ協議継続というリスクオフの可能性を残しておくことでFRBに利下げの余地を再考させることは、将来のリスクオンの温床となるかもしれません。

今週は、15日欧州のZEW景況感指数、米国はISM製造業景況指数と関連が大きいニューヨーク連銀製造業指数の発表があります。16日水曜日には欧州で物価指数、米国で地区連銀からの経済報告―ベージュブック、17日に米国フィラデルフィア連銀製造業指数。18日には中国のGDP,鉱工業生産、小売売上高などの発表があり、米中貿易摩擦の影響が数値として出てくるかどうか注目となってきそうです。

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