FOMC:テーパリング年内開始と利上げ前倒しを示唆
2021-09-24
■ FOMCはテーパリングの年内開始を予告。2022年のテーパリング完了、利上げ開始を示唆した
■ ただし、政策金利見通しは二分されており、利上げ開始時期、ペースの見解は分かれている
9月21、22日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利目標、資産購入目標額などの主要政策は据え置かれた。ただ、声明文には、「経済はこれら目標に向けて前進している。もし想定通りに幅広く進展が続く場合、委員会は資産購入ペースの減速を近いうちに正当化する可能性がある」と加わり、決定こそ見送られたものの、資産購入の段階的縮小(テーパリング)の開始に着手することを予告した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、FOMC後の会見で、早ければ次回11月2、3日のFOMCでテーパリングの基準を満たす可能性があると明言。また、経済が軌道に乗っていれば、2022年半ばにもテーパリングを完了すると見通した。なお、中国の債務問題については中国固有の問題と述べており、テーパリングの判断に影響を及ぼす可能性が低いことを示唆した。
同時に発表された「経済見通しの概要(Summary of Economic Projection、SEP)」では、2021-2023年のコア個人消費支出(PCE)デフレーターの見通しが6月時点から上方修正され、今回追加された2024年まで目標の2%を上回った。また、政策金利見通しでは、政策金利引き上げの到達点とみられている長期(中央値:2.500%)の見通しこそ据え置かれたものの、全体的には上方修正され、2022年以降の中央値(2022年:0.250%、2023年:1.000%)が引き上げられた。今回より対象期間に追加された2024年の中央値(1.750%)を踏まえると、2022年の利上げ開始、2023年以降は年3回のペースでの利上げ実施が見通されている計算になる。なお、政策金利見通しの分布はばらつきが広がり、参加者の間で見解が分かれていることを示している。中央値が示すような利上げペースを見通す参加者は少数であり、中心的な見方が、利上げペースの加速、減速のどちらに傾いていくのかは、今後の政策金利の見通しで注目される。
今回のFOMCでは、2022年半ばにテーパリングを終了し、政策金利引き上げに着手する考えを明確に打ち出した。金融政策正常化のスケジュールは従前よりも前倒しされている。テーパリングについてはFRB内でコンセンサスが形成され、年内開始を実質的に予告する一方、利上げの開始時期やペースについては現時点で意見が分かれている。今後のコミュニケーションは資産購入縮小から政策金利引き上げにシフトしていくことになるだろう。