NZ経済とRBNZの金融政策
2021-09-20
■ 足元の景気回復ペースは加速したが、今後は都市封鎖の影響で鈍化する可能性
■ 物価高、雇用回復、住宅価格高騰を受けて、RBNZは10月に政策金利引き上げへ
4-6月期のニュージーランド(NZ)実質GDPは前期比2.8%増と前期(同1.4%増)から加速し、2四半期連続でプラス成長となった。最大都市オークランドでの2月の外出制限後の緩和措置に伴う経済活動が成長を下支え。業種別では、輸送・倉庫業や小売り・宿泊業の伸びが目立った。ただ、新型コロナウイルス新規感染者が再び急増し、アーダ―ン首相は8月17日に全土で都市封鎖を再び導入、オークランドについては9月21日まで延長すると発表した。豪州でも厳格な都市封鎖が導入され、NZ政府は7月24日以降、豪州からの渡航者受け入れを停止。7-9月期以降の個人消費などへの影響が懸念される。市場予想では、7-9月期は同0.7%増へ伸びが鈍化し、その後も1.0%増を下回る低成長が続く見通し。
4-6月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.3%と2011年6月以来の大幅な伸びとなり、中銀目標(1-3%)を超えた。また、失業率は4.0%と新型コロナウイルス感染拡大前の2019年12月以来の低水準を回復。さらに、8月のコアロジック住宅価格は前年比27.0%上昇と過去最高水準を記録した。住宅価格の高騰を受けて、NZ中銀(RBNZ)は住宅ローン規制の一段の強化策を10月に導入する方針。8月18日の会合では政策金利の引き上げは見送られたが、オアRBNZ総裁は「中銀の明白な方向は金融刺激策を縮小し、利上げすることだ」と言明。同23日には大規模資産買い入れ(LSAP)プログラムに基づく追加的な資産購入を停止している。RBNZは10月6日の次回会合で政策金利を0.25%から0.50%へ引き上げる公算が大きく、年内最後の11月24日の会合でも追加利上げを決定し、政策金利は0.75%となる可能性が高いと市場は見込む。