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今週の相場展望(9月23日―27日)

2019-09-24

<先週の動き>サウジアラビア原油生産拠点へのドローン攻撃によって、世界原油の生産量の約5%が失われることで、原油価格は一気に15%ほど上昇し、新たな攻撃手法への不安も台頭した。しかしサウジアラビアは、約1か月で生産拠点の回復を発表したことで利食いの動きとなり、原油は攻撃前より約8%高い58ドル台での推移で落ち着いた。

米国のFOMCでは、予想通り0.25%の利下げだったがもう少し踏み込むことを期待した投資家から株価へ売りが殺到し、ダウ平均は200ドル以上下落となり、ドル高へ傾斜した。しかしパウエルFRB総裁の記者会見が始まり、米国経済は堅調だが貿易摩擦や海外経済の減速への下方リスクは大きいと言及したことで、更なる利下げへの可能性と相場の下支えの思惑と感じ取れたことで、相場は逆に戻しとなり株価はややプラス圏で引けた。

全般に週初頭の原油相場以外は、ポンドが堅調、株価が堅調という動きがやや目立った程度で小動きとなった。しかし相場は常に安定とはいかず、先週もまた金曜日に若干の波乱要因があった。中国代表団が米国モンタナ州での農業視察を見送ったことが株式相場への利食いを促し、円安から円高、金の上昇相場へと傾斜。売トランプ大統領は、「中国は先週、米農産物の購入を再開し、購入規模は非常に大きい。しかし、私が求めているのはより大きな合意だ」中国による米農産品購入だけでは不十分」と言明。このことで米中貿易合意への不透明さを醸し出すことになった。<今週の展望>ドルインデックスは、先週は軟調推移で米国の長期金利低下と連動した。ユーロドルは上値抵抗ラインがじりじり下がっていて上値が重いが小動きで終始。ポンドドルは、直近の高値更新となっている。

パウエルFRB総裁は、政策対応を先送りにするのは望ましくはなく、機動的な金融政策が必要で、手法としてもフォワードガイダンスや資産買い入れの手段を使用できると説明したことで、先行きの相場の下支え意志は感じ取れる。ドル相場には利食いとして下落要因となったが、ユーロドル相場の底打ちとポンドドルの上昇がドル相場へ影響を与えている様子。

不思議なことにFOMCの翌日は、ほぼ日銀金融政策決定会合と設定されている。FOMCの結果を見て日銀は動くつもりなのか、いつもそうである。米国が0.25%の利下げを受けて?相場の落ち着きを見た後、日銀は政策自体、前回同様の内容を維持するということでサプライズはなかった。但し保険としての言及は保ち、もう少たし世界経済や貿易摩擦次第で機動的な更なる緩和策も辞さないと可能性に言及した。

ECBとFRBは利下げモード、またオーストラリアも米中貿易摩擦からの悪影響を少しでも和らげたいところ。既にロウ準備銀行総裁が利下げ方向へと言及している。また24日火曜日にロウ総裁の講演が予定されているので豪ドルの動きには注目だろう。

英国はEU離脱に関しては結論が全く出ていないが、EU側を揺さぶりたい思惑もあるのではないだろうか。議会の休会、ジョンソン首相の合意なき離脱も辞さない幾度とない言及がEU自体の協力を望んでいるのかもしれない。実際にユンケル欧州委員長は「離脱期限まで合意できると、前向きな態度を見せている。

豪ドルは,対ドルで昨年から長期下げトレンドが継続している。戻しがあっても上値抵抗ラインで止められている。8月4日につけた安値付近にサポートがあり、その0.6676を下に割り込むと下げが加速しそう。上昇するには、まず下チャート上で青線である100日移動平均線が上向き方向に変化することが必要だろう。ドル相場は全般ではニュートラルな感じで、高値と安値の間で推移しているため下値サポートや上値抵抗レベルは機能しない可能性があり、トランプ大統領の発言次第の動きに終始しそう。またユーロドルは、下降トレンドラインの上限が1.1075まで下がってきているが未だ機能している。金は1484-1556ドル内でレンジ内相場の予想。

イベントとしては、23日月曜にドイツとEUのPMI指数発表がある。ドイツは景気後退の可能性を示唆しているため注意が必要。米国は住宅関連指数が多く、重要なところではGDPが続く。今週はこれまでの大きなイベント後であるため、相場はここ2週間ほどのレンジ内での上げ下げに終始しそうで動きづらい展開を予想している。こういう時こそトランプ大統領の発言には最も注意が必要となると思っている。
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