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RBAの政策指針について

2021-09-16

■ 豪景気回復のカギを握るのは、ワクチン接種率の上昇と経済活動制限の緩和に

■ ロウRBA総裁は早期利上げに慎重姿勢、今日発表の8月雇用統計にも注目


    豪中銀(RBA)のロウ総裁は14日、豪州経済と金融政策について講演を行った。大方は7日開催の理事会声明や従前の見解を繰り返す内容となったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う都市封鎖の影響などで、7-9月期は2%を超えるマイナス成長になる可能性を示唆した。だが、景気拡大の停滞は一時的で、10-12月期は再び成長し、2022年も回復が続くとの認識を維持し、カギを握るのはワクチン接種率の上昇と経済活動制限の緩和だと指摘。人口の1.25%が過去2週間で毎日ワクチンを接種した結果、接種対象のうち1回目を終えたのが3分の2以上、2回目を完了したのは4割以上に達したと説明した。不透明感はあるとしながらも、政府目標の達成によって活動制限が緩和され、経済活動が立ち直ることへの自信をにじませた。また、政府による財政政策や高水準の貯蓄率、住宅価格高騰がGDPの5割強を占める個人消費再開の支えになるだろうとの認識も示した。昨日発表された9月の豪消費者信頼感指数は106.2(前月比2.0%上昇)へ持ち直しており、家計マインドに復調の兆しもみられる。


    一方、ロウRBA総裁は、インフレを押し上げるほど賃金の伸びが加速するには時間が掛かり、2024年までに政策金利を引き上げる可能性は低いとの姿勢を堅持。現行1.7%の賃金上昇率が3.0%を上回る必要があるとして、2022年や2023年序盤の利上げ開始を織り込む市場の観測をけん制した。こうしたなか、今日日本時間10時30分に発表される8月の豪雇用統計は失業率が4.9%と前月から0.3ポイント上昇、就業者数は前月比9万人減少と雇用悪化が見込まれており、景気減速への懸念はくすぶる。来週21日には理事会議事要旨(9日開催分)も公表される。今理事会では、週40億豪ドルの国債買い入れを少なくとも2022年2月中旬まで継続することを決めたが、今後の緩和縮小を巡る政策の指針は活動制限緩和後の景気回復に伴う完全雇用と物価目標の達成によるところが大きい。
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