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米国株:物価動向が株価に及ぼす影響を注視

2021-09-15

■ FOMCの物価見通しが上方修正されれば、早期利上げ観測が浮上しかねない

■ 原材料価格上昇を最終価格に転嫁できない場合、企業利益が圧迫され得る


    本日、8月の米消費者物価指数(CPI)が公表される。市場では前年比5.3%上昇と前月(同5.4%上昇)から伸びが鈍化すると見込まれているが、CPIの伸びが加速しても鈍化しても株式市場にはリスクとなりうることを理解しておきたい。9月21、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではメンバー18名の経済見通しが更新されるが、CPIの伸びが加速し物価見通しが上方修正されるとの思惑が強まれば、政策金利見通し(ドット・チャート)において2022年の利上げを予想するメンバーが前回6月時点の7名から増えるとの見方につながり、市場では早期利上げ観測が浮上しかねない。

    一方、企業収益への悪影響の観点からは、CPIの伸びの鈍化もリスクとなりえる。10日に公表された8月の米生産者物価指数(PPI)は前年比8.3%上昇と、前月(7.8%上昇)から伸びが加速している。7月時点の両指数の格差(PPI-CPI)は2.4%と、比較可能な2011年以降で最も拡大している。これは企業にとって、原材料価格の上昇を最終価格に転嫁できない限り、時間をおいて利益が圧迫される度合いが強まっていくことを示唆している。情報会社リフィニティブの集計によれば、S&P500株価指数構成企業のうち、7-9月期の一株当たり利益(EPS)について、悪化もしくは市場予想を下回る(ネガティブ)との見方を示した企業は40社、改善もしくは市場予想を上回る(ポジティブ)との見方を示した企業は58社と、4-6月期(それぞれ46社、59社)と比較するとポジティブが優勢である(9月10日時点)。現時点では業績の先行き不安は感じられないものの、今後はPPI-CPI格差拡大による業績悪化への兆候がみられないか注目しておきたい。

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