今週の相場展望(9月16日―20日)
2019-09-16
- 9月第3週、相場予想
-
<9月第2週の動き>
-
全般には、米中貿易協議への期待でリスクオンの動きが顕著であった。まず月曜日に中国人民銀行が利下げで景気を支える動きが出たことを好感して株価は上昇で始まった。その後トランプ大統領が中国製品に対しての関税を10月1日から15日へ延期したことや、両国共に課税商品の除外等発表したことも、リスクオンの動きを加速させることになった。金は軟調推移、ドルは米国長期金利の上昇で買い優勢、またポンドは議会内での合意を期待して、また売り持ちの多い投資家のショートカバーが続いている様子。
木曜日にはECB金利政策理事会が開催され、全体の政策金利は変更していないが、中央銀行への預金金利を0.1%引き下げ、マイナス0.5%へと変更し、前回示唆されたが今回の予想になかった資産購入プログラムを月200億ユーロで再開した。今回は、予想をやや上回る緩和策の発表となった。またドラギ総裁の記者会見では、2%目標であるインフレ率の低迷や保護主義の脅威やアルゼンチンなど新興国市場のボラティリティーの高さにも言及し、先行き経済への悪影響や不透明さがリスクとなると発言した。利下げに対する副作用は大きくないとも述べている。
その結果を受けてユーロドルは乱高下し、下げの局面ではあと1ポイントで今年最安値更新というところまで下げたが、仕掛けのストップハンティングは失敗したようで急に反転しほぼ変わらず程度まで戻している。
-
<今週の展望>
-
(今後の相場への大きな背景)
-
今月に入ってから、9月1日に中国への関税率の引き上げを決定した直後に米中貿易閣僚会議の再開が決定し、これを境に大きく下落していた株価も上昇へと反転し、ブレグジットや欧州の景気低迷を加味して、リスクオフの流れが強まって急上昇していた金価格が反転下落と大きな流れの変化が見られた。
先週には、北朝鮮強硬派のボルトン補佐官を解任した。これはトランプ大統領にとって政策変更の大きな要因となりそうで、北朝鮮のバックについている中国との関係修復とも考えられ、米中貿易協議へ前向きな動きとみなされている。
また10日の米国ノースカロライナ州選挙の下院での補欠選挙で、トランプ大統領応援の共和党議員が当選した。しかし50年以上にわたって議席を守ってきた州で民主党の候補に猛追されている。このことはトランプ大統領への批判も多く、これまでの中国への貿易戦争や他国への強硬な動きに対しての反発も感じられ、自身の政策への考え方を変得る必要性を感じ取れる。また最近、経済界からも強引な外交に対して文句が増えていることも政策変更への理由となっていると考えられる。
-
=========================================================
(相場の背景と予想)
サウジアラビアへの原油生産拠点へのドローンテロ
週末にイエメンの親イラン武装組織フーシ派が、無人機(ドローン)でサウジアラビアの原油生産拠点を2か所攻撃したとの犯行声明を出し、逆に原油価格は、54ドル台半ばから61ドル台まで急上昇している。
アラムコは、サウジの石油生産が日量570万バレル減少するとの見方を示した。これは世界の石油供給の5%超に相当する規模。しかし米国とサウジアラビアは自国の備蓄原油を供給することで世界需要の対応を進めていく予定。また米国はサウジアラビアへの施設攻撃への支援をすることと、イランとの会談を望んでいる様子。原油相場は、テロへのイラン関与次第での動きとなってくるだろう。
=========================================================
-
今日の相場反転で、テロの影響もあるが結果としてはSQ前後での反転タイミングというのが予想通り機能している。このまま反転が継続とは思えないが、レバレッジ投資家にとっては、短期的には重要なイベントとして認識すべきである。
現在の相場は、8月に大きくリスクオフとなり、ドル安、円高、株安、金高となった相場をほぼ全て戻したような修正相場と期待相場がプラスされての動きである。修正相場としては、米中貿易協議の合意へ向けての動き。また期待相場としては世界的な金融緩和再開。
欧州中央銀行ECBの金融緩和再開と米国FRBにより利下げ再開で、大国が経済を支えるための金融緩和の再開となり、株価には好影響となる。修正相場の後にリスクがオンされる雰囲気が蔓延している。短期的には株価指数への利食い、ドル買い円売り相場の修正がありそう。しかし中期的な視点から見ると、世界的な金融緩和が債券売りの株式買いの構図(債券から株のグレートローテーションと言われている)への連想に繋がる可能性を考えている。もしその方向性が強まると、外国為替の中ではクロス円の上昇が顕著となる。
イベントとしては、18日の夜間に米国FOMCで金利が決定される。0.25%の利下げは100%織り込んでいるので、結果次第では大きな動きとなる可能性もあり予断を許さない。
また19日に日銀金融政策決定会合と英国BOE中銀による金利発表と先週からの金利ウィークが続く。
-
(ドル円)
ドル円は104.44 から106.98のボックスの動きから上放れしている。先週のコメントで106.70を上抜けした後上昇が加速し、予想した通りの展開となっている。107円より上は損失確定の買戻しが多く、それが上昇を加速させた要因の一つでもある。しかし100日移動平均線レベルを越えたところでの今日の反落となっており、今日時点での一目均衡表の下限レベル107.25付近を下値サポート、上値は先週高値の108.25付近である。相場への影響としては、今夜からの米国政府がイランへどういう対応を見せるのかもあるが、FOMCまではこの間のレンジ相場となると予想している。日銀の金利政策委員会がFOMC翌日に発表することもあり、簡単に円高一本とはいかないはず、10月の消費税引き上げや海外の貿易、テロなどの不透明さが日銀メンバーの考えに影響を及ぼせば、金融緩和への何らかの動きがあるかもしれない。そうなると一気に高値更新も考えられる。
-
(英ポンド)
ポンドは、解散選挙や離脱合意案双方とも成立せず、議会が休会に入っている。この間も各党のトップ辺りとの内密な話し合いは続いていると考えられ、10月14日に予定されている議会再開まで不透明さが継続されることからショートカバーで上昇しているポンドは1.25台から上は重いと考えており、1.2100-1.2550の大きなレンジ幅での動きを予想する。
-
(金)
金は下値の1484ドル付近で2回止められて上昇しており、チャート形状から見ると、1524ドルへ到達するとダブルボトムが達成され、上値余地が出てきそう。FOMCとテロへの対応次第での動きとなる。
-
(ユーロ)
ユーロドルは、今日時点で1.1105付近に下落抵抗ラインが通っており上値抵抗レベルとなり、毎日5ポイントずつ抵抗ラインのレベルが下がってくる。そこを上回ると堅調な動きに変わってくると思われる。