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日本株:上値追いには慎重な見方が広がろう

2021-09-13

■ 日経平均株価の連騰は8営業日でストップしたが、依然として先高感は根強いとみられる

■ バリュエーション面では相対的に割安な一方、日本固有の悪材料は払しょくされていない


    9日の日経平均株価は前日比173円02銭安、マイナス0.57%の3万0008銭19銭で取引を終了。9営業日ぶりに反落したとはいえ、前日までの8営業日の上昇幅は2500円超に達していたうえ、引けにかけて下げ幅を縮小して3万円台を維持しており、底堅い印象を受ける。東証一部の値上がり銘柄数は1363と全体(2189)の6割超を占めたうえ、東証一部の売買代金(概算)は5営業日連続で3兆円を上回っており、依然として先高感は根強いとみられる。
    9日時点で、日経平均株価の予想株価収益率(PER)*1は17.63倍と2020年末の22.76倍から18.93%低下し、米S&P500(7.35%低下)やストックス欧州600(8.79%低下)よりも遥かに大きく低下。また、新型コロナウイルス感染拡大によって予想PERが急低下する直前となる2020年2月19日の17.14倍からの上昇率は2.85%と、米S&P500(9.96%)やストックス欧州600(3.04%)を下回っている。その背景として、日経平均株価の12カ月先予想1株当たり利益(EPS)の伸びが米S&P500やストックス欧州600を上回っていることもあろうが、最大の要因は新型コロナワクチン接種の出遅れや長引く行動制約、そして内閣支持率低下といった日本固有の悪材料が重しになってきたとみられる。自民党総裁選、衆院選に向けて政策期待が高まっているが、現時点ではあくまで期待にすぎない。また、ワクチン接種率(2回)は50%に迫っているものの、病床のひっ迫が解消されていないうえ、政府は9日、東京や大阪など19都道府県について緊急事態宣言の期限を12日から30日まで延長するなど、国内景気の先行き不透明感はくすぶる。よって、相対的に割安なバリュエーションが日本株の下支えになるとみられるものの、日本固有の悪材料が払しょくされておらず、いったんは上値追いにも慎重な見方が広がるだろう。
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