RBA理事会レビュー
2021-09-09
■ RBAは国債買い入れのペースを緩めたが、期間延長で緩和継続の姿勢を堅持
■ 豪景気減速は一時的で再び成長するとの認識、政策の見直しを継続し機動性と柔軟性に備える
豪中銀(RBA)は7日の理事会で、政策金利を0.1%、2024年4月償還の3年国債利回り目標を10ベーシスポイント(0.10%)に据え置いた。国債の買い入れは従前の方針通り、10億豪ドル減額して週40億豪ドルとしたが、期間を3カ月延長し「少なくとも2022年2月中旬まで継続する」とした。声明では、「7-9月期のGDPは大幅に減速し、失業率は向こう数カ月にわたり上昇する」ものの、「景気拡大の停滞は一時的であるとみられ、デルタ株の流行が回復を遅らせても、腰折れさせることはない」との認識を示した。一方、「ワクチン接種率がさらに上昇し、活動制限緩和によって回復するはずだが、その時期やペースには不確実性があり、国民の健康状態と活動制限の緩和に大きく左右される」と指摘。RBAの中心シナリオでは、10-12月期には再び成長が見込まれ、2022年後半にはデルタ株流行前の軌道に戻るとの予想だ。
政策金利については、「賃金上昇率が現行水準から大幅に加速する必要がある」として、「実際のインフレ率が持続的に2-3%の目標に収まるまで引き上げず、2024年までは達成されない」とする姿勢を堅持した。豪ドルは8月安値(0.7104米ドル、77円86銭)で底入れ感を強めているが、政策決定を受けて3日高値(0.7477米ドル、82円02銭)で上伸を阻まれた。当面は16日公表の8月雇用統計や21日公表の理事会議事要旨が注目され、既往の豪ドル高のスピード調整で弱含みに推移する可能性もあろう。ただし、RBAは「完全雇用とインフレ目標に向けた進展への影響を踏まえ、債券購入プログラムの見直しを継続する」としており、今後の政策対応への機動性と柔軟性に備えたと判断される。豪ドルは中長期的にも上昇基調に戻るのか試される局面へ移ろう。