足元の景気減速はどの程度深刻なのか
2021-09-06
■ OECDのリアルタイム指標では、成長ペース加速に歯止めが掛かるが、急減速は示唆されない
では、景気減速はどの程度深刻なのだろうか。生産、消費関連の経済指標で確認できるのは数カ月後になるが、高頻度データによるリアルタイム指標で示される減速度合いを確認する。経済開発協力機構(OECD)が加盟国を中心に実質GDP成長率をリアルタイムトラッキングする「週次経済活動トラッカー」(いずれも最新データである8月22-28日週)では、米国が前年比9.3%、2年前比1.4%、ドイツが前年比4.3%、2年前比マイナス0.2%、日本が前年比マイナス1.2%、2年前比マイナス5.4%となっている。推移をみると、4‐6月期以降、成長ペースの加速に歯止めが掛かったことが確認できる。ただ、米国、ドイツでは、成長ペースの大幅鈍化は示されておらず、日本を除けば、成長モメンタムが失われた程度の失速にとどまっている。経済再開による高成長を前提としていた株式市場では見通しの前提の修正が迫られている印象を受けるが、本指標が映す経済の姿は深刻な減速からは程遠い状況といえる。
なお、実質GDP金額ベースでのコロナ禍以前のトレンドからの乖離率も公表されており、米国がマイナス2.6%、ドイツがマイナス1.6%、日本がマイナス6.6%と試算されている。トレンドへの回帰目前で成長ペースが失速しているため、経済正常化が遅れる、もしくはトレンド回帰が叶わなくなることが潜在的なリスクだろう。下方乖離が相対的に大きい日本では、特にその懸念も大きくなっている。
シティグループが算出するエコノミックサプライズ指数は世界的に下降基調が続き、米国は7月末、ユーロ圏は8月後半にそれぞれマイナスに転換した。市場予想に対して下方乖離が上方乖離を上回っていることを示している。
■ ただし日本では、実質GDP金額ベースでコロナ禍以前のトレンドからの下方乖離が広がっている
では、景気減速はどの程度深刻なのだろうか。生産、消費関連の経済指標で確認できるのは数カ月後になるが、高頻度データによるリアルタイム指標で示される減速度合いを確認する。経済開発協力機構(OECD)が加盟国を中心に実質GDP成長率をリアルタイムトラッキングする「週次経済活動トラッカー」(いずれも最新データである8月22-28日週)では、米国が前年比9.3%、2年前比1.4%、ドイツが前年比4.3%、2年前比マイナス0.2%、日本が前年比マイナス1.2%、2年前比マイナス5.4%となっている。推移をみると、4‐6月期以降、成長ペースの加速に歯止めが掛かったことが確認できる。ただ、米国、ドイツでは、成長ペースの大幅鈍化は示されておらず、日本を除けば、成長モメンタムが失われた程度の失速にとどまっている。経済再開による高成長を前提としていた株式市場では見通しの前提の修正が迫られている印象を受けるが、本指標が映す経済の姿は深刻な減速からは程遠い状況といえる。
なお、実質GDP金額ベースでのコロナ禍以前のトレンドからの乖離率も公表されており、米国がマイナス2.6%、ドイツがマイナス1.6%、日本がマイナス6.6%と試算されている。トレンドへの回帰目前で成長ペースが失速しているため、経済正常化が遅れる、もしくはトレンド回帰が叶わなくなることが潜在的なリスクだろう。下方乖離が相対的に大きい日本では、特にその懸念も大きくなっている。
シティグループが算出するエコノミックサプライズ指数は世界的に下降基調が続き、米国は7月末、ユーロ圏は8月後半にそれぞれマイナスに転換した。市場予想に対して下方乖離が上方乖離を上回っていることを示している。