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豪州経済について

2021-09-03

■ 4-6月期の実質GDPは4四半期連続でプラスとなったが、ペースは鈍化

■ 豪主要都市の都市封鎖で7-9月期はマイナスに落ち込むが、10-12月期はプラス成長に戻ろう


    豪統計局が9月1日に発表した4-6月期の実質GDPは前期比0.7%増と、個人消費、政府支出、住宅投資、設備投資が増勢基調を維持し、純輸出や在庫の落ち込みを補った。4四半期連続でプラス成長となったが、回復ペースは昨年7-9月期(同3.6%増)をピークに鈍化傾向をたどっている。新型コロナウイルス変異種の新規感染者急増に伴い、シドニー、キャンベラ、メルボルンでは都市封鎖が厳格化。シドニーは9月末まで、首都キャンベラは少なくとも9月17日まで、豪州で人口が2番目に多いメルボルンでは3週間程度の延長が発表された。モリソン豪首相は、新規感染者をゼロに抑えることよりもワクチン接種の加速に注力し、接種率が70%に達するまで都市封鎖を実施するとしている。ニューサウスウェールズ(NSW)州は10月半ば、ビクトリア州では9月23日までに達成を目指すとしているが、豪州全人口の60%が都市封鎖の対象となっており、豪州は7-9月期のマイナス成長を避けられない見通し。
   豪政府は2021年度(2021年7月-2022年6月)の予算案で、インフラ投資計画(10年間で1000億豪ドル)に152億豪ドルの追加予算を拠出したほか、企業への設備投資減税の延長や中低所得者向けの税還付制度の継続などを打ち出した。ここ数年、政府による公共投資は増加基調が続き、豪統計局によれば4-6月期に292億豪ドルとGDPの5.8%を占める高水準を記録。これまでは政府部門が成長を下支えしたが、主要都市の都市封鎖が緩和され経済活動が正常化すれば、今後は個人消費や設備投資など民間部門が主導し、景気回復や雇用創出が図られよう。現時点で市場では、7-9月期の実質GDPは前期比1.9%減に落ち込むが、10-12月期は同1.8%増に回復、2022年は4四半期通してプラス成長が続くと見込まれている。
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