今週の相場展望
2019-09-03
<8月26日の週の動き>
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前週、トランプ大統領が中国へ向けて更なる関税引き上げ発言したことで、株価指数やドル相場は大きく崩れた。翌週26日の月曜日には、中国副首相が貿易摩擦に対して反対の意を唱えていたこと、その後トランプ大統領がG7の場で「中国政府から連絡が2度あり、貿易交渉の合意に向けて再開したい」という発言をきっかけに相場は急反転を始めた。
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また木曜日には、中国が渡米し通商協議の再開を検討していることが報道されて安心感を誘い上昇に弾みがついた形となった。ダウ平均は前週の下げを全て回復し、ドル円は105円台前半から106円台後半まで上昇。逆にユーロドルは、ドイツIFO研究所が発表した景況感指数が悪化でドイツの景気後退の可能性が高まったと報告され、またECBが辛抱強く金融緩和を続けるような発言などで年初来安値を更新した。ポンドドルは安値から上昇し、1.23台まで戻していたが、ジョンソン首相が議会を休会することを決定し、合意での離脱を求める議会と合意なしでも強引に離脱したい首相の間で意見が対立し、反転急落となった。
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金価格は、政府系の実需買いが下値を支えていたと想定されるが、米中貿易問題解決への期待が大きくなるにつれ利食い売りも多くなり、1555ドルの高値更新まで上昇する場面もあったが、そこから1519ドルまで下げている。
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<9月2日の週の相場展望>
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週末日曜日の9月1日に、米中共に予定通り貿易製品に対して追加関税を実施した。市場は今月の貿易交渉が行われることで、追加関税はない可能性を期待が剥げ落ち相場はややリスクオフの展開へと向かいつつある。
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まず今週のイベントとしては、英国議会が9月3日より開会する。
まず英国は、議会休会となる9月9日から10月13日まで話し合いが行われなく、10月31日での離脱期限への議論する時間も少なくなってきている。ポンドの動きは下落の動きとなっており、10月末に向けて、離脱への決定内容次第では急変動の可能性もありそう。
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その他経済指標では、火曜日にオーストラリアの政策金利決定会合があり、予想は金利据え置き1%で変わらない予定ですが、記者会見で更なる利下げへの発言があると下げとなるでしょう。また米国では、重要な景気指標の一つであるISM製造業担当者景気指数の発表がある。水曜日には、中国と英国でサービス業PMI、カナダで政策金利決定会合、米国は地区連銀経済報告であるベージュブックの発表がある。金曜日には米国の雇用統計を控える。EU内の指標はサービス業PMIが各国発表されるが、市場のセンチメントから、悪い結果はユーロ売りの口実となるだろう。
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これまで同様、トランプ大統領が中国との貿易に関してどのような発言をするのか?で相場が応じて動いていくのが基本スタンスとなる。次いで米国長期金利動向。これは米国の経済指標の結果などを受けての中央銀行のメンバーからの発言で相場へ影響が出やすい。ここのところ0.25%の利下げは確実視されており、相場は既に織り込み済。10月にも更に0.25%利下げする予想も50%程度あって、FRBが予想通りに動けば株価指数の下支えとなりそう。
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相場への影響リスト
1.米中貿易戦争の行方
2.米国長期金利動向―FRB委員の先行き金利への発言
3.英国議会でのEU離脱問題への動き
4.欧州経済指標、中央銀行の金利スタンス
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・金相場
先週は高値の1555ドルから下は1500ドルの幅での動きに終始しそうだ。
・ドル円
104円の最安値から106円まで戻したことで、下値不安はやや遠のいている。105円―107円のレンジ内での動きとなりそうだが、上昇したら売りのスタンスで臨みたいところ。
・ユーロドル
今年安値の更新が続いており、引き続き弱い展開が続きやすい。1.1000を下回ると損失確定の売りが増えることが想定され、1.0900割れまで下落の可能性はある。もし上昇があっても1.1200手前は売りが増えてきそう。
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・株価インデックス
平均株価指数の中で、ここのところ比較的上昇が大きいのがDAX指数で、これは先進国の中で際立って積極的な金融緩和期待があるECBへの期待が支えている。次いで米国の株価、英国はブレグジットの悪影響は想定されているが、インフレ懸念もあるため積極的にはなりづらい。また日本は金利引き下げ余地がほとんど無いことやリスクオフの円高が日経平均の上昇の鈍さに繋がっている。中国はまずまずの上昇を見せたが、香港株価指数は、民間人と政府との騒動が収まらず、悪影響を及ぼしている。
イベントを控えてのレンジ内相場に終始する時は、ドルや株価と金の逆相関も連動しなく、売り買いの量、つまり需給によって単独の動きをすることが多いので、動きによっては相場の見方を変える必要も出てくるだろう。
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トランプ大統領は2年後に大統領選を控え株価を大きく下落するわけにはいかない状況に置かれている。
株価が大きく下げると発言によって支えるという構図となっており、上昇するとそれを貯金として中国や他国に貿易や武器に関して強い立場で動いている。それが急落後に戻す相場となっている原因。しかしチャート上では徐々に上値の重い形が出来ており、株価とドル、原油相場は下方向、金、銀は上昇の動きが強まると加速しやすい環境であることを頭に置いて取り引きするようにしたいところ。