欧州株:堅調だが中国発の懸念材料が気掛かり
2021-08-27
■ 欧州株の堅調さは業績見通しの改善によるものであり、高値警戒感が広がる可能性は低い
■ ただ、中国に絡んだ懸念材料が浮上しており、業績見通しへの影響を見極める必要があろう
欧州の主要企業600社から構成されるストックス欧州600指数は、8月2日からは10営業日連続で終値ベースの過去最高値を更新し、13日には一時475.83ポイントまで上昇。その後、世界的な株安を受けて一時は463.36ポイントまで軟化する場面があったものの、25日には471.84ポイントまで持ち直して取引を終えている。なお、年初来の騰落率は18.25%と、米国のS&P500(19.70%)には及ばないが、NYダウ(15.68%)やナスダック総合(16.71%)を上回っている。
1株当たり利益(EPS)に株価収益率(PER)を乗じたものが株価になるが、ストックス欧州600指数の予想PER*1は2020年末の17.53倍から24日時点で16.34倍まで低下しており、業績見合いでの割高感はむしろ和らいでいる。欧州、ひいては世界経済の回復に伴う業績見通しの改善が株価を押し上げていることを踏まえれば、高値警戒感が広がる可能性は低く、株価の下振れ余地は限定されるとみている。
ただ、このところ、欧州連合(EU)最大の貿易相手国である中国の景気減速感が強まっている。加えて、欧州には世界的な高級ブランドを擁する企業が多く、中国の習国家主席が所得格差是正を目指し富の配分を強化する方針を示しており、富裕層への締め付けが強化されるとの警戒が広がっていることも気掛かりである。今後、中国に絡んだ懸念材料が欧州企業の業績見通しにどの程度影響を及ぼすかを見極める必要があろう。