中国A株:海外投資家の動向を注視
2021-08-26
■ 香港株の下げ幅が拡大するなか、中国本土のA株の底堅さが目立つ
■ 海外投資家の買い越し基調が変化しないか警戒すべき
中国関連の株価指数がまちまちの値動きを示している。香港ハンセン指数は2月中旬に米ナスダック総合指数が軟化したことをきっかけにピークアウトし、米中対立や中国当局による規制強化に対する懸念を背景に、ハイテク株主導で下落基調をたどっている。7月以降は規制強化の裾野が広がるとの警戒感が一段と高まり、直近高値を付けた2月17日からの下げ幅は17%を超えている(8月24日時点、終値ベース)。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は同期間に41%超下落し、香港株の下げを主導するなか、上海総合指数は約4%の下落にとどまっており、中国本土のA株の底堅さが際立つ。
中国ではストックコネクトという制度が導入され、2014年に上海証券取引所が、2016年に深セン証券取引所が、香港証券取引所との相互接続を開始した。これにより、海外投資家は香港市場を通じて上海市場のA株を取引することが可能となった。ストックコネクトを通じた海外投資家の中国A株投資は2020年11月以降買い越し基調が続いており、年初来では2424億元の買い越しと、海外投資家が上海総合指数を下支えする構図となっている(8月24日時点)。なお、米中通商交渉の難航への警戒感が高まった2019年4-6月や、新型コロナ禍への懸念が強まった2020年2-3月には海外投資家がA株を大幅に売り越し、上海総合指数の急落を招いたことがある。中国当局による規制強化が海外投資家の投資行動に及ぼす影響は現時点では限定的となっているが、こうした構図が変化しないか注視すべきであろう。