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日本株は上値の重い展開が続く

2021-08-23

■ 6月のコア民需は4カ月ぶりに減少したが、四半期ベースでみれば増加基調は維持されていよう

■ ただ、日本の製造業は先行き不透明感が強まっており、日本株は上値の重さが払しょくされにくい


   18日に内閣府が発表した6月の機械受注統計では、設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除くコア民需(季節調整済)は前月比1.5%減と4カ月ぶりに減少した。ただ、5月の高い伸び(同7.8%増)の反動が出たとみられるうえ、4-6月期では前期比4.6%増と、1-3月期(同5.3%減)から明確に持ち直している。コア非製造業からの受注が同1.8%減と2四半期連続で減少したものの、製造業からの受注が同12.1%増と大幅に増加して全体を押し上げており、基調は増勢に転じつつある。
   同時に公表された7-9月期の見通しでは、コア民需が同11.0%増の2兆7980億円と受注額ベースで2019年4-6月期(2兆7853億円)を上回り、2008年4-6月期(2兆8365億円)以来の高水準に達する。ただ、この見通しは6月末時点の調査を集計したものであり、その後、新型コロナウイルス変異種の感染拡大に伴い国内外で新規感染者数が急増し、主要国の景況感は悪化傾向にある。特に、7-9月期は製造業からの受注が同3.4%増に対して、非製造業からの受注が同16.9%増と見通されており、供給制約解消に向けた設備投資需要は根強いため増勢基調は維持されようが、足元での新型コロナ感染状況を考慮すれば、7-9月期のコア民需は見通しから下振れる可能性が拭えない。また、19日には東南アジアでの新型コロナ感染拡大によって部品調達が停滞していることを理由に日本の自動車メーカー大手が9月に世界生産を4割減らすと発表したうえ、中国景気が減速感を強めており、日本の製造業は先行き不透明感が強まっている。こうしたなか、日本株は業績見合いで割安感が強まっているものの、目先は上値が重く、日経平均株価が年初来安値2万7002円18銭で下げ止まるかどうかに注目が集まろう。
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