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テーパリング開始で概ね一致、開始時期は見解割れる

2021-08-20

■ 雇用回復に対する評価の違いがテーパリング開始時期を左右

■ パウエルFRB議長講演では、足元の景気認識とテーパリングに関する情報発信に注目


   米連邦準備理事会(FRB)は18日、7月28、29日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開した。量的緩和の縮小(テーパリング)に関して、開始することに関しては概ね一致している一方、開始時期に関しては見解が割れていることが明らかとなった。テーパリング開始の条件としてきたFRBの目標に向けた「顕著な一段の進展」について、物価安定に関しては満足する水準に達し、雇用最大化も満足する水準に近いと判断された。見解が分かれたのは雇用に関する条件に対する評価についてであり、ほとんどの参加者が新型コロナ禍により生じた労働需給のミスマッチを踏まえ年内に条件が満たされるとした一方で、一部の参加者は新型コロナ禍前の雇用水準に向けた労働市場の回復を慎重に見極める必要があるとの見方を示した。これに伴い、テーパリングの開始時期に関して、年内が妥当との見方と2022年初めまで待つべきとの見解に割れている。今後公表される雇用関連指標の結果がテーパリングの意思決定に直結する公算が大きいと改めて認識すべきであろう。
   なお、多くの参加者はテーパリング開始の環境が整うことと利上げ時期の検討との間には機械的な関連性はないと改めて指摘しており、早期利上げ観測が高まらないよう引き続き配慮している。また、ほとんどの参加者は米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の購入を同時に終了させることが望ましいとの考えを示した一方で、テーパリングのペースに関しては議論が深まっていない印象が強い。パウエル議長は8月26-28日に開催される国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演する予定で、7月のFOMC以降に公表された経済指標などを踏まえた景気認識に加え、テーパリングの開始時期やペースに関する情報が示されるか注目される。
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