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COPOMレビュー

2021-08-12

■ ブラジル中銀は4日の会合で2003年以来で最大となる1.0%の政策金利引き上げを決定した

■ 同会合の議事要旨では、9月会合も1.0%の追加利上げの可能性が示唆された


   ブラジル中銀(BCB)は8月4日の金融政策委員会(COPOM)で政策金利を1.0%引き上げ5.25%とした。利上げは全会一致で4会合連続となったが、100ベーシスポイントの利上げ幅は2003年以来で最大となった。声明では、「現時点では、中立を上回る水準への政策金利の引き締めサイクルが適切」との認識が示された。中立金利はインフレ高進を招かず、完全雇用と景気安定を達成する水準とされ、物価変動の影響を除いた実質ベースで3%前後と考えられている。そのうえで、インフレ期待を確実に定着させるためには、さらなる金融調節が最も適切な戦略だと認識している」と説明。政策金利は年末時点と2022年を通して7.0%、2023年は6.5%に低下すると予想した。
   10日発表の7月の消費者物価指数(IPCA)上昇率は前年比8.99%とBCBの年末目標(3.75%±1.5%)を大幅に上回り、2016年5月以来の高水準を付けた。同国での干ばつが農業や水力発電を打撃するなどして食品価格や電気代の上昇につながっている。同日公表のCOPOM議事要旨によれば、インフレ見通しの基本シナリオは2021年が約6.5%、2022年は3.5%、2023年は3.2%に。そのうえで、インフレ期待を抑えるため、9月22日の次回会合でも1.0%の利上げの可能性を示唆した。先週のブラジルレアル(レアル)は対ドルで5.10レアル台後半から5.27レアル台半ば、対円では20円台後半から21円台前半でもみ合いとなったが、週明け以降はレアル安が一服している。当面は新型コロナウイルス変異株感染拡大や、乱高下している鉄鉱石価格などコモディティの動向に左右されやすいが、2022年の大統領選で再選を目指すボルソナロ大統領が、電子投票システムは不正に脆弱だとして非難し、最高裁が調査を承認したなど政情不安も不安視されており、レアル相場を高下させることになろう。
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