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2021年8月第1週(2-6日)の相場展望

2021-08-02

先週開催されたFOMCで、金融緩和の解除であるテーパリングに関する予定などが示されなかったことで長期金利は低下し、ややドル安となった。議会では突っ込んだ議論はなされたようだが、具体策までの検討はなく、各委員からの意見交換程度であったようだ。ただパウエルFRB総裁は、FOMC後の定例記者会見でテーパリング前に行内容釣用がある事項に触れ、住宅ローン担保証券(MBS)と国債の買い入れ縮小ペースには言及し、縮小ペースは同等で行う方針とした。10年債長期金利は1.22台まで低下しているが、株価には影響なく金利より企業決算へ目が向かっているようだ。

また中国では、当局による教育関連の民間企業への規制強化の懸念で、悪い流れとなり教育企業の株価が暴落し、海外マネーの引き上げ懸念が台頭している。香港の株価ハンセン指数は、週足ベースで2月以来の大きな下げとなっており、やや戻しが見られるものの、2月は上昇に対する警戒もあってポジション調整も多かったが、今回はマネーの引き上げ懸念もあって売り圧力が強まっている。今回が2度目の下げ相場となっており、波動からは一番大きな下げのケースとして捉えられやすく下値のターゲットは、第一波の下げの1.618倍の幅を下げると予想して23700付近となってくる。23700付近まで下がると下げ過ぎからの買戻しも出てくる可能性があるだろう。週末にかけて戻しに掛かってはいるが、急落前の水準の27000台までの回復には至っていない。アジア全体の株価下落のリード役となっているだけに、アジア時間はハンセン指数と中国株価指数には注目が集まっているだろう。円相場はこれらの株価指数睨みとなってくる。一段のリスクオフは円高を促す傾向が高いので、連動性が気になるところ。チャートからは今週の動きが今後のカギを握る可能性が大きいのではないだろうか。何らかの悪材料が出れば、再度下値トライの可能性は残るだろう。

ハンセン指数の日足チャート


パウエルFRB総裁の定例記者会見の内容がほぼ前回を踏襲したものに近いため、市場の動きは限定された。コロナウイルス変異種の影響拡大で世界的に感染者が拡大傾向となっている。行動規制の再導入に追い込まれたイスラエルでは、新規感染者の半数以上がワクチンを2回接種済みだという。金融市場の内外で広がったワクチン接種効果への過剰な期待感は、修正を余儀なくされるかもしれない。ワクチン接種のお陰で重篤患者が減少しているのが救いとなっているが、各国政府の警戒は大きくロックダウンなどの経済封鎖を再度行う傾向が出てくるのかどうか政府側の懸念は尽きない。英国では3回目の接種治験が始まった。インフレと同時に感染者増加となると金融政策が難しくなってくる。来月のジャクソンホール中央銀行会合が注目される。そこで何らかのテーパリングに関しての言及があるかもしれないが、数週間前からの全般ドル売りの動き継続を基本線に、夏休みやオリンピック期間ということもあって小動き相場というのが為替相場の予想としては適当であろう。各国の金利差が縮小し、今最大の関門である新型コロナに対して同様の懸念や政策が行われている間は、為替相場の動きが限定的となってくるだろう。しかしマネー放出で株価や商品相場の動きが大きくなるのは必然だ。

金曜日に発表された、個人消費はやシカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者態度指数も予想を上回り、ここ数年間での高水準となった。世界的には変異種への懸念が国民の動向に影響を及ぼしそうだが、米国民の間では、変異種への懸念があっても消費活動や今後の経済活動などにも前向きな見方が増えていると予想できる。ワクチン接種でも変異種感染は免れない検査結果が出ているが、重篤者が減少しているのは心理的にも大きいのだろう。国民の楽観的な心理状態と政府側の見解がマッチしていくのか、否か、今後も景況感と政府高官の発言には注目だ。





今週の外国為替は、米国雇用統計前でドルもみ合いから引き続き小動きの予想をしている。シカゴ先物市場のIMM通貨先物取組からドルの買い越し額は2020年3月以来の高水準となっており、ドル買いがこれ以上大きく進むのは需給からは難しいと思っている。傾向としてはコロナ変異種が拡大すればリスク回避のドル買い、それが落ち着いて推移すればドル売りとなると考える。豪国と英国で金融政策の結果が発表され、また欧米で改定値ながらも景況感指数(PMI)の発表があり、民間の消費動向に繋がることもあり注目したいところ。
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