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中期的な原油増産要因が浮上

2021-07-22

■ OPECプラスは中期的な減産縮小(=現状からの増産)方針を決定

■ 来年後半の原油需給の緩和が見込まれる


    19日の原油相場で、WTI原油先物価格8月限は前週末比7.5%下落し66.42ドルで引けた。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスが18日の閣僚協議で、(1)協調減産の合意期限を2022年12月末まで延長する、(2)減産幅を8月から毎月日量40万バレルずつ縮小し12月に再評価する、(3)2022年9月まで月次会合を継続し、それまでに約580万バレルの生産調整を終了するよう努める、(4)減産の基準となる生産量(ベースライン)を2022年5月から変更する、ことなどが決定された。
    なかでも、(3)、(4)は中期的な原油安要因として認識すべきだ。特に(4)に関しては増産余地が大きい。OPECプラス構成国はベースラインから協調減産分を差し引いて生産目標を設定するが、ベースラインの引き上げは、サウジアラビアとロシアが日量50万バレル、UAEが同33.2万バレルなど、OPECプラス全体で同163.2万バレルに達する計算となり、2022年5月以降は大幅な増産が見込まれる。国際エネルギー機関(EIA)の世界原油需給予測(7月時点)に基づけば、世界の原油需給は2022年以降供給が需要を上回ることが見込まれているが、今回のOPECプラスの決定は2022年後半以降の供給超過幅を拡大させることにつながるとみられ、原油価格の重しとして作用することが見込まれる。
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