米国株:上昇基調維持との見方は変わらず
2021-07-21
■ 米国では新型コロナ感染者が急増しており、景気減速への懸念が強まっている
■ ただ、ワクチン普及により、新規感染者数に比べて入院患者数の増加ペースは抑制されいる
米国でも新型コロナウイルス変異株のなかで感染力が強いとされる「デルタ株」の感染が拡大しており、6月上旬以降は概ね11000-15000人程度で推移していた1日当たり新規感染者数(7日平均)が7月18日には32000人超まで急増。こうしたなか、先週末にはカリフォルニア州やネバダ州の一部でワクチン接種の有無にかかわらず屋内でのマスク着用を義務付ける動きがみられたうえ、昨日は米国務省と米疾病予防管理センター(CDC)が英国に対する渡航制限レベルを最高位の「レベル4」に引き上げた。今後、本格的な行動制限や経済活動規制にまで発展すれば米景気が減速するとの懸念が強まっている。
一方、バイデン米大統領は15日、メルケル独首相と会談し、欧州からの渡航制限解除の時期を検討していると述べていた。これは、新規感染者数が一段と増加したとしても、ワクチン接種進展によって重症化する患者数を抑制できれば、医療体制のひっ迫は回避できるとの考えによるものであろう。米国の新型コロナ感染による入院患者数は7月17日時点で約2万人と、12000人程度で推移していた6月下旬からは増加しているが、各州で行動規制が緩和され始めた3月(33000人から4万人程度)の水準を大きく下回っている。ワクチン接種率*1は十分とはいえず、先行きを楽観視はできないが、現時点では都市封鎖などの厳しい制限措置がとられる状況に逆戻りする可能性は低いと考えられる。よって、ペースの鈍化や時期の後ずれはあろうが、経済正常化に伴う企業業績の改善にサポートされて米国株の上昇基調は維持されるとの見方を変える必要はないだろう。
*1 Our World in Dataによれば、7月18日時点で少なくとも1回接種が55.63%、2回接種が48.21%