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日本の景況感について

2021-07-13

■ 6月の景気ウォッチャー調査では景況感改善が示されたが、景気水準自体に対する判断は低位

■ 秋頃には景況感の改善が期待できようが、あくまでワクチン接種のペース次第

  7月8日に内閣府が公表した6月の景気ウォッチャー調査(季節調整値)*1によると、現状判断DIが47.6と前月から9.5ポイント上昇し、3カ月ぶりに改善。6月20日に沖縄県を除く緊急事態宣言の解除やそれに伴う営業規制緩和により、飲食や小売りを中心に景況感が大きく持ち直した。また、先行き判断DIは52.4と前月から4.8ポイント上昇し、横ばいを示す50を4カ月ぶりに上回った。ただ、現在の景気の水準自体に対する判断を示す現状水準判断DIは35.2と、前月から5.2ポイント上昇したとはいえ50を大きく下回り、景況感は改善傾向にあるが、経済活動は新型コロナウイルス感染拡大前と比べて低い水準にとどまっていることが示唆された。

  先行きについては、昨日から東京都に対して緊急事態宣言が発出されているうえ、沖縄県に対する同宣言も延長された(いずれも8月22日まで)。また、首相官邸が公表しているデータによれば、新型コロナワクチンの1日当たりの接種回数(高齢者含む)が6月下旬の約120万回をピークに、7月10日には70万回程度まで減少しており、7月調査では再び景況感悪化が懸念されよう。今後も1日当たり70万回のペースが続くと仮定すれば、10月末時点の総接種回数は約1億2700万回となり、ほぼ日本の総人口と等しくなる。現在の1回接種数(約3100万回)と2回接種数(約1700万回)や徐々に両者の差が縮小することなどを踏まえると、接種率は1回55-60%、2回40-45%程度になると想定されよう。現在の英国(1回:67.45%、2回:50.88%)*2や米国(1回:54.97%、2回:47.53%)*2に近い状況となり、経済正常化の進展が期待できる。しかし、ワクチン接種のペースが一段と落ち込めば景況感改善のタイミングも後ずれするため、日々の接種動向を注視する必要があろう。

 
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