RBA理事会レビュー
2021-07-09
■ 資産買い入れプログラムの規模は縮小したが11月まで継続、11月の理事会で今後を検討へ
■ RBAは、新型コロナウイルス変異株拡大と都市封鎖の影響は一過性との認識
豪中銀(RBA)は7月6日の理事会で政策金利を0.1%に据え置き、3年国債利回り目標を0.1%に維持し2024年4月満期償還を決定した。一方、9月初旬終了の1000億豪ドルの資産買い入れプログラムは、週50億豪ドルから40億豪ドルに規模縮小し少なくとも11月半ばまで継続、その後の対応は11月の理事会で検討するとした。声明では「政策措置は景気回復から拡大への過渡期にある経済を支援する」としたうえで、「雇用最大化と物価目標の達成にコミットしている」 との認識。インフレ見通しについて、四半期金融政策報告(5月時点)では2021年が1.5%、2023年半ばに2%としたが(いずれもメインシナリオ)、4-6月期はベース効果で一時的に3.5%へ加速すると予測する。ロウRBA総裁は、「インフレが持続的に2-3%の物価目標の範囲に収まると確信するまで政策金利を引き上げない」として、少なくとも2024年まで引き上げられる状況にはならないと強調、賃金上昇率は3%が必要だとした。
新型コロナウイルス変異株が猛威を振るうなか、豪州では新規感染者数が350人を超えた。豪州のニューサウスウェールズ州は7月7日、州都シドニーでの2週間の都市封鎖を1週間延長し16日まで実施すると発表。対象住民は食料や生活必需品の購入、診療、運動を除き、自宅待機を義務付けられる。こうしたなか、6月の求人広告は前月比3.0%増と2008年以来の高水準を記録した前月から伸びは鈍化したが、13カ月連続で増勢基調を維持。新型コロナウイルス感染再拡大による都市封鎖の導入や政府の緊急支援策の一部打ち切りにもかかわらず、一時解雇や一時帰休の労働者が制限解除後に直ぐ職場復帰もしく新たな職種を見つけている。RBAは、「これまでの経験から行動規制が緩和されれば、景気は急速に回復する」とし、感染拡大と都市封鎖の経済への影響は一過性との見方を示しており、今回の政策決定は今後の緩和調整に機動性と柔軟性を備えるためと判断される。当面は、15日発表の6月雇用統計や28日発表の4-6月期消費者物価指数に注目が集まろう。